2019年07月26日 1585号

【保育園・学校の放射能汚染土撤去を/危険なものは子どもの生活の場におかない/横浜市に行動を迫る】

 横浜市の300の保育園と4つの小中学校に「埋設処分」された放射能汚染土がいま大きな注目を集めている。「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」共同代表の青島正晴さんに報告を寄せてもらった。

 「横浜市内の100人規模の保育園で園児2人が白血病を発症した」というネット情報はまたたく間に広がった。

 白血病を発症した園児の保護者が市議を介して園庭の空間線量測定を要求し、市こども青少年局の担当者が測定を行ったのが4月18日。その保育園は福島原発事故後に園庭から出た除染土を「安全だから」と園内に埋設していた園でもあった。因果関係は今後もわからないだろうが、白血病の発症率は10万人に数人。それが50人に1人の発症となっているのは、誰の目から見ても異常事態であることに変わりはない。

 しかし、横浜市は問い合わせに対し、白血病が一つの園で2人出たことは認めたものの、空間線量率に問題はなく、白血病の原因は生活習慣や遺伝的なものもあり放射線の影響とは限らない、と言う。

母親たちの署名を共に

 母親たちのグループ「神奈川・子どもを守りたい」は以前から、汚染土の移管を求める署名を呼びかけており、私たちもともに取り組んできた。5月27日、5385筆の署名を添えて林文子横浜市長あて要望書提出行動が行われ、同席した。引き続き行われた記者会見も含め神奈川新聞などで大きく取り上げられた。私の発信したツイッターも3000件以上のリツイートがあり、関心の高さがうかがわれる。

 しかし、記事が出た翌29日、市会のこども青少年・教育委員会で白血病に対する調査と埋設汚染土の撤去についての請願が圧倒的多数で否決された。賛成は共産党市議1人のみ。他の委員は「横浜市の対応はとてもよいのに不安になる市民を安心させなくてはならない」というトーンで、驚かされた。6月4日の本会議で、請願に対する委員会決議の是非が採決され、圧倒的多数の市議が白血病の調査、汚染土の撤去の請願を否決した。

 この事実を受けて、「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」では広く直接市民に訴えようと6月15日、JR鶴見駅頭で「横浜市の300の保育園に埋設されている放射能汚染土の撤去についての賛否を問うシール投票」を実施した。1時間足らずの間に28人が投票し、うち27人が撤去に賛成。「あり得ない。なぜそんなことするの?」「知らなかった」「子どもがかわいそう」などの声が寄せられた。若い母親、父親たちの投票が目立った。

7・26横浜市要請へ

 6月29日には、この問題について学習会・相談会を開催した。市内、そして東京からも若い母親たちを含めて10人ほどの参加があった。原発事故から8年が過ぎ、放射能についての基礎的な知識を持ち合わせていない人もいる。いわゆる「インスタ友だち」で園児・小学生をもつ母親4人は、この問題が気になり参加したとのこと。事故以降、給食やプール、土遊びなど放射線の健康影響がどうなっているのかを知り、「もっと知りたい」「汚染土は撤去してほしい」と語っていた。

 私たちはミーティングを通じて、横浜市に対し(1)埋設した汚染土を直ちに撤去・移管すること(2)学校・保育園の汚染土の土壌測定を行うこと(3)希望する人に放射能健康診断を行うこと―を要求していこうと話し合った。そして、7月26日(金)ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が提起しているワンデイアクションの中で横浜市に対して要請行動を行うことを決めた。

 何より必要なのは、安全サイドにシフトし、危険なものは子どもたちが遊び、生活する場所から撤去・移管することだ。これを実現するため、より広汎な市民・団体に呼びかけ協働の力を広げていきたい。危険なものは子どもたちの生活の場におかない。そのために、駅頭での宣伝行動を継続し、与野党の議員への働きかけを強め、横浜市に行動を迫りたいと考えている。



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