2019年08月02日 1586号

【みる…よむ…サナテレビ(526)/2019年7月20日配信 イラク平和テレビ局in Japan/米国・イランの戦争に反対する/―バグダッド市民の意見―】

 中東では、トランプ政権がイラン核合意から離脱して軍事挑発を繰り返し、イランも強硬な措置で対抗している。イラクには米軍が駐留し、一方イランもイラク国内のシーア派宗派主義勢力と私兵を利用して対立を深めている。2019年5月、サナテレビはこの対立と介入について、バグダッド市民の意見を聞いた。

 市民活動家は「1万人の米軍連合部隊がイランなどで軍事作戦を展開するためにイラクに到着する」とのニュースに警戒感を強め、「米軍が入ってくるのは、中東を占領する軍事計画なのだ」と断定する。米軍は、海軍、空軍も海兵隊も中東に投入しようとしている。巨大な石油権益を支配し、イランに影響力を持つロシアや中国に対抗するためだ。

 別の市民は「(米軍占領下でも使用された)アサード基地は中東最大の基地です」と指摘する。イランとの国境地帯にも米軍は配置されている。米国とイランの戦争が起これば、イラクはまさに最前線になる。

 イランも米軍に対抗し、イラク国内に影響力を持つ勢力を利用して軍事的対抗措置を強めている。イラン攻撃を公言するイスラエルに対して「イラクやシリア、レバノン領内からイスラエルを攻撃することを狙った兵力配置をしている」という状態だ。

 こうした対立が実行に移されたらどうなるのか。市民は「もしも彼らが米軍を攻撃したら、その代償を払うのは私たちイラク市民なのです」と批判する。市民はバグダッド中心部のタハリール広場で米国、イランの戦争に反対するデモを展開している。

 最後に登場する市民は「トランプ政権のイランに対する脅迫政策は過去に失敗したことの繰り返しです。イラク市民はイランの民族主義を受け入れませんし、その介入も受け入れません」と訴える。そして「イラクをだれが率いるのかを決めるのはイラク市民なのです」と明言する。バグダッドの市民の思いは私たち日本の市民の思いでもある。

 トランプ政権はイランへの挑発を続けている。イランはウラン濃縮を加速しイラク国内への介入を強めている。日本政府はこの対立を利用して自衛隊派兵の機会をうかがっている。今こそイラン、イラク、米国、日本から軍事介入、侵攻を許さない闘いを進めたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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