2019年08月09日 1587号

【議会を変える市民と変える/東京都日野市議・有賀精一/市民の声は「湧水破壊にNO!」】

 昨年7月、日野市の貴重な湧水がマンション工事で汚染・枯渇を招いたことを1月の本欄でお伝えしました。

 学者や都職員を交えた検討委員会が何度も会議を重ね、報告を提出。これを踏まえ、マンション建設の施主である野村不動産と建設工事を請け負う長谷工コーポレーションによる住民説明会が6月19日夜、問題の湧水近くにある市の施設「カワセミハウス」で開催されました。

 そのタイトルはこうです。

(仮称)多摩平の森計画新築工事 東豊田緑地保全地域「黒川清流公園」湧水の白濁・枯渇と作業再開に関する近隣報告会

 30名を超える市民が参加しました。市民は皆、今回の問題発生に対して怒りを持っており、企業側の説明が終わって質問時間になると次から次へと立ち上がり、企業側を厳しく追及する質問が続きました。

 「工事を再開して問題は発生しないのか」

 「問題が発生しない根拠を示せ」

 「そもそも13階という高層階を建てようとするから地下深く掘って湧水の水脈を壊してしまうことになる。湧水を保全するためには低層階にするべきではないか」

 「白濁はなくなり、環境に影響はないというが、最近サワガニがいなくなった。白濁原因の地盤安定化剤ベントナイトの影響ではないか」

 時間がなくなるほどに多くの市民が発言しました。

 昨年の白濁・枯渇が起こってから湧水量のチェックを始めたといっても、そもそも長期にわたって観測していないため何を基準に多い少ないと言えるのかすらわからない状況なのです。

 湧水を守る日常的な測定を日野市がしてこなかったツケがこういうところで出ているとも言えます。

 説明会から1か月が過ぎ、参加された湧水保全に取り組む市民の皆さんから声がかかり、今後に向けた認識を共通のものにした次第です。

 その際、豊田緑地に隣接する雑木林でオオタカの営巣が確認されたとの情報も聞くことができました。

 マンション建設の杭打ちなどは間違いなくオオタカに影響を与えることでしょう。

 企業側にしてみれば、一刻も早く高層階のマンションをなるべく金をかけずに建設し儲けを上げたいというのが本音でしょう。

 企業の乱開発にストップをかける取り組みを私も学びながら、市民の皆さんと頑張っていこうと思います。

 また何か月か後にこの取り組みの成果を報告します。お楽しみに。
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