2019年08月16・23日 1588号

【ZENKO第1分科会 DSAとともに市民の力で選挙に勝つ 鍵は戸別訪問と若者組織化】

 「市民の力で選挙に勝とう! DSAとともに」をテーマとした2019ZENKO第1分科会。

 DSAのビル・イェィツさんは、選挙に勝って社会を変えるためにはそれまで投票に行かなかった人が投票所に行くようにしなければならず、「その非常に有効な方法が戸別訪問です」と明言した。

 ビルさんたちは、地元シアトルで選挙を戦うための地域を設定し、戸別訪問できるメンバーを調べ、どの地区で何票獲得するのかを決める。語りかけるシナリオを作り、みんなで読み上げて練習する。実際の戸別訪問は、経験者と初心者が2人以上で行う。

 たとえば「メディケア・フォー・オール」について、資料を見せて「メディケア・フォー・オールをご存知ですか?」「あなたの今の医療は十分ですか? 困っていませんか?」と聞く。

 一番大事なのは、こちらから一方的にしゃべるのではなく住民から話してもらうことだ。しっかりと話を聞いて、その情報を集めていく。

 ビルさんはまた、若者の組織化について、「若者が自由に自分たちの発想で活発に活動していくスペースを提供することが私たちの役割」「若者自身がリーダーシップを取れるようにしていくことが大事だ」と報告した。

 この活動の効果は大きい。2018年、米国史上最年少の下院議員となったDSAのオカシオコルテスは、選挙資金力で100倍も上回る民主党ナンバー4の有力議員を破った。「ニューヨークの6千人〜7千人のメンバーが戸別訪問をして地域をくまなく回って勝利した」という。

地域変革を交流し連帯

 イラク労働者共産党のサミール・アディルさんは「水道も電気もまともに来ず40%もの失業率に苦しむイラクの若者がアブドルマハディ政権に対する抗議行動を展開しているが、きちんとした組織化がなされていない」と課題を指摘した。若者の中に個人主義が広がり各自ばらばらであること、組織嫌いが蔓延しているからだ。一方で若者に無神論と政教分離の要求が広がり、マルクス主義への関心が高まっている。アメリカとよく似た状況だ。

 サミールさんたちは、イラク全土から若者の活動家を集めて円卓会議を3回行った。そこで工場や職場に労働者の組織を作って闘いを進めた経験を伝える中で、若者が自ら組織する議論を作った。

 最初の会議では女性の参加はほとんどなかったが、3回目には3分の1を占めるようになった。その結果、3月8日の国際女性デーではイラク近代史上初めて女性が先頭に立つデモを実現した。メーデーではフランスの黄色いベスト運動に連帯して黄色いベストを着た女性労働者など大きなデモを展開している。

 2人の報告を受け、地方選や参院選を担った参加者が自らの訪問活動「ドアノッカーズ」の取り組みを報告。「戸別訪問というイメージしかなかったが、それを通じて市民と対話すること、何を対話するのかが大事だと思った」と発言した。参加者の感想でも「DSAとサミール氏の発言は同質のものと感じた。2つの報告を同じ場所で聞けたことはすばらしいと思った」というものがあった。

 DSAの戸別訪問、イラクの若者の組織化から学び、日本の私たちの選挙戦、地域変革の闘いに活かす国際連帯の交流が進んだ分科会となった。

(全交全国事務局第1分科会担当・森文洋)

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