2019年09月06日 1590号

【1590号主張 日米韓の軍事力強化許さない 民主主義的社会主義の実現へ】

日韓軍事協定の破棄

 8月22日、韓国文在寅(ムンジェイン)政権は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄することを決定した。GSOMIAはミサイル防衛システム運用など日米韓軍事一体化のために締結され、朝鮮半島非核化と和平を願う韓国民衆は締結に反対し破棄を要求し続けてきた。反戦・反基地運動の力が協定を破棄させた。

 しかし、文政権は協定破棄と同時に、対日批判も口実に国防予算増強を明言。5年で290兆ウォン(約25兆円)に上る大軍拡で空母導入と搭載戦闘機F35Bの配備を進め、星州(ソンジュ)サード(高高度防衛ミサイル)配備強化、ホルムズ海峡派兵に動いている。

 一方、日本政府は協定破棄を強く批判し日米軍事同盟の強化を表明した。安倍は、徴用工問題と絡めた嫌韓・排外主義を強め、「つけこみ狙う中ロ」(8/26朝日)など安全保障問題として危機感をあおり、憲法9条改悪と軍拡、派兵の合意形成を狙う。過去最大5・3兆円(20年度概算要求)の軍事予算を確保し海外侵略を可能とする自衛隊の機能強化をもくろんでいる。

 日韓政府の軍拡路線はグローバル資本と好戦勢力が再び緊張を激化させ、東アジア平和の流れを妨げるものだ。

市民の連帯で平和構築

 好戦勢力の策動を許さない日韓市民の闘いは始まっている。8月14日、韓国・代案文化連帯とZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)らが提起した日韓平和市民連帯行動が釜山(プサン)の日本領事館前で開催され大きく成功した。発表された「共同宣言」は、安倍政権に対し「植民地支配の歴史を認め被害者に謝罪」「憲法9条改憲中止」を求め、日韓政府に対して「済州(チェジュ)島・沖縄の軍事要塞化中止、星州サード配置撤回、ホルムズ派兵反対」の他、「GSOMIAを破棄、日米韓三角同盟戦略を破棄」を明確に突きつけていた。

 翌15日、ソウルでの諸行動には日本からの参加者を含め市民10万人が集った。日本メディアの報じる「反日」ではなく「NO安倍」のスローガンをともに叫んだ。安倍は朝鮮半島和平交渉に敵対してきた。安倍政権打倒は日韓市民の共通課題だ。韓国民衆との連帯を強め、日米韓軍事一体化を解体し、平和構築へと進むときである。

社会の根本的変革へ

 グローバル資本主義は世界を破壊し続けている。戦争と環境破壊、徹底した搾取は極端な不平等と貧困を生み、99%の人びとから生存権と幸福追求権を奪った。

 私たちの対案は民主主義的社会主義の実現だ。米国ではDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)が急速に勢力を拡大している。DSAは、医療、学費の無償化と返済帳消しは基本的人権だとして「メディケア・フォー・オール」「カレッジ・フォー・オール」を打ち出した。財源は消費税や国債発行などではなく、1%のグローバル資本と富裕層に負担させる。社会の根本的変革へと進む政策だ。

 MDS(民主主義的社会主義運動)は、DSAや韓国、沖縄民衆と連帯し、東アジアの平和構築と民主主義的社会主義実現のために闘う。地域に対話と共感を広げる戸別訪問に取り組み、地域社会を変革する。MDSに結集し、ともに闘おう。

   (8月27日)
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