2019年09月06日 1590号

【「月桃の花」歌舞団『ガマ人間あらわる』 川内原発の鹿児島・薩摩川内公演に200人 幕が下りてからがスタートだ】

 福島第一原発事故後の2015年8月11日、新規制基準のもとで初めて再稼働された鹿児島県川内(せんだい)原発。その立地地元である薩摩川内市で、くしくも、再稼働されてから4年後の8月11日、フクシマ・オキナワとつながる希望のミュージカルコメディ『ガマ人間あらわる』鹿児島公演を開催。会場の薩摩川内市国際交流センターには、約200人が集まり成功した。

 まったく知り合いのいない地で公演が成功したのは、現地の人と出会い、つながり、一緒にこの公演を広げてきたからだ。

 1月、同市久美崎海岸の反原発川内テント村で活動している人たちの新年会に参加し、名刺交換から始まった。また、フェイスブックで鹿児島や九州に住んでいる人に友だちリクエストを広げ、「薩摩川内市に行くので会いたい」とメッセージを送ると、多くの方が会って話を聞いてくれ協力者を拡大することができた。

 九州電力の関連企業で働く人も多く、「私は表立って原発反対は言えないけれど、この公演を成功させるために協力したい」と、地元で暮らすことの苦悩を率直に語る人とも出会えた。

若い世代とともに

 「若い世代にこそ、このミュージカルを観てほしい」と、鹿児島市内の高校をすべて訪問。演劇部や放送部の顧問の先生に会い、「ぜひ生徒のみなさんに宣伝してほしい」とチラシやチケットを預けて回った。すると、演劇部の高校生から「チラシに、キャスト、スタッフ募集とありますが、まだ間に合いますか?」と問い合わせがあり、7月7日の公開リハーサルに参加。その場で「ぜひ、公演本番で出演したい」と女学生役を引き受けてくれた。

 高校1年生の彼女は出演後、次のような感想を残している。

 「私は、このガマの中で彼女が何を思っていたのか、どんな気持ちでガマの中にいて、男性の問いかけに『知りません』と答えたのかを考え、役作りをしました。沖縄戦の中で女学生達は看護要員として動員されており、ガマの中で負傷兵達の看護をしていたと聞き、私が演じた彼女も戦火の中でこのガマに逃げ込み、身を挺して戦っていたと思うと胸が痛みました。また、ガマの中で日本兵が怪しいと思った人を連れて行くところや自決を求めるシーンなどで、実際にこのような残虐なことが行われていたことに驚きました。そして、原発の話では当時の現地の人達のリアルな思いや辛さを感じることができました。鹿児島には川内原発があるのでより身近に考えさせられました。私はこの舞台の台本を読み深めていく中で、フクシマ、オキナワ、そして、原発と戦争について深く考えさせられ学ぶことが出来て、参加して良かったと思いました」

さらに協力の申し出も

 公演終了後の感想交流会で出された声を紹介する。

 「『爆弾よりもニガウリの方が、栄養があってからだにいい』というのが印象に残った。戦争よりもおいしいものや平和を共有したほうがいいのかなと思った」(中学生)

 「今日はフェイスブックで公演のことを知り、こどもと一緒に観に来た。こどもと一緒に来てよかった。自分の思いにこだわって生きたいと思った」

 「大阪からわざわざ手弁当で公演に来てくれるのに、観に来るお客が少ないなんて恥をかかすわけにはいかないと毎日“推進ニュース”でチケットを広げた」

 次々と共感の声が寄せられた。アンケートにも「全国で公演してほしい」「九州で公演するときは、知人・友人に広げます」「歌舞団サポーターになります」と惜しみない協力申し出が書き込まれた。

 公演は成功したから終わりではなく、幕が下りた時からがスタートだ。9月8日薩摩川内現地で総括実行員会(感想交流会)を開催する。ここを次の九州公演へのスタートにできるよう頑張りたい。

(「月桃の花」歌舞団・西日本公演担当 廣田和也)

◆茨城公演 *公開リハーサル(入場無料) 9月22日(日)13:30開演/東海村産業・情報プラザ アイヴィル

*本公演 11月24日(日)14:00開演/茨城県総合福祉会館コミュニティホール



  
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