2019年09月20日 1592号

【厚労省NO3の口利き℃膜潤^外国人労働者でカネ儲け】

 安倍政権のゴリ押しで4月から始まった外国人労働者受け入れ拡大。その受け入れをめぐって、自民党の上野宏史厚生労働政務官による“口利き”が暴かれた。

「お金もらう案件」

 政務官は大臣、副大臣に次ぐNO3だ。その上野が、人材派遣会社が在留資格を申請している外国人について、法務省への問い合わせの見返りに金銭を求めていたと『週刊文春』(8月21日発売号)がスクープした。

 文春は上野の秘書が録音した音声データを入手。それによれば、秘書は外国人労働者について法務省の認可の可否を「ネオキャリア」という人材派遣会社に報告。これに上野が激昂する。報告は上野から同社の社長に直接伝えることで、口利き報酬が1人当たり2万円支払われる約束が交わされていた。

 上野は逆上し、「だってこれ、うちがネオキャリアからお金もらう案件になってるんだから。…直接、僕から返す(報告する)から。僕が儲けようと思ってやってるわけじゃない。党費として出す。個人で出してくれれば良い。ネオキャリアから僕がもらうはずのお金だったんだから」と、秘書に対し取り損ねた13人分26万円を支払えと詰め寄る。秘書は「これ、あっせん利得になっちゃいますよ、代議士」と言っても聞かない。

「3とか5(万円)に」

 音声データ第2弾が出た。ネオキャリアを上野に紹介した女性経営者Nとの会話。上野がNを議員会館に呼び、打ち合わせを行った際のものだ。

 ―N「私、手間がすごいかかるって、わざと(ネオキャリアに)言っていて(笑)。言った方が値上げできるんで。高値で売りたいんですよね」

 上野「許可も極力速やかに出すようにするので、2万ずつ手数料もらうだけでも、まあ月に100万でも入れば」

 N「そう。私ももうちょっと値上げとか、取れる所があると思ったんで…」

 上野「3とか5(万円)にするとか」―

 ネオキャリアは、2000年創業、売上高500億円超の人材派遣会社で、飲食店や薬局・薬店などに外国人を派遣している。外国人労働者の在留資格を取得するため出入国在留管理局に交付申請を行っているが、迅速かつより多くの交付を受けようと、Nを介して上野に口利きを要請することになった。

 上野は、厚労省「技能実習生の職種のあり方に関する検討チーム」のトップ、主査を務めている。出入国在留管理庁とも緊密な連携を図る立場にある。その立場を利用して口利きを行い、ネオキャリアから見返りを得ていた―となれば、明らかにあっせん利得処罰法に抵触する犯罪行為だ。

 上野が仕切った「技能実習生の職種のあり方に関する検討チーム」は7回の検討会の度に各種業界団体の要望を聞いている。職種拡大を狙っているのは明白だ。


違法行為ばかり

 一方、技能実習生の悲惨な労働実態は一向に改善されない。厚生労働省は8月、外国人技能実習生が働いている事業所への調査(2018年)で、5160事業所において違法残業や賃金未払いなどの法令違反を確認したと発表した。前年から22%増え、5年連続で過去最多を更新した。

 また、出入国在留管理庁は9月6日、日立製作所に対し、外国人技能実習生を計画とは異なる作業に従事させたとして技能実習適正化法に基づく改善命令を出した。「電気機器組み立て」の技能習得のため働いている実習生に、新幹線の窓枠を作る作業など全く別の重労働をさせた。日立は昨年、同じ理由で国の外国人技能実習機構から改善勧告や指導を受けている。その時は1か月分の給料を支払っただけで全員を解雇した。

 経団連会長を務める大企業が外国人実習生を虫けらのように扱っているのだ。

 上野は8月28日、厚生労働政務官を辞任。しかし、「法令に反する口利きをした事実はない」と居直っている。外国人労働者の生き血をすする経団連、安倍自民党を糾弾し、徹底追及を行おう。

 
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