2019年09月27日 1593号

【1593号主張 軍拡と生活破壊の再改造内閣 改憲政権はいらない 退陣だ】

異常な改憲シフト

 「悲願である憲法改正への挑戦だ」。9月11日、第4次再改造内閣発足直後の安倍首相の第一声だ。

 安倍は今回の改造で異常なまでの改憲推進シフトを敷いた。閣僚20人中12人まで改憲・右翼団体「日本会議」の国会議員懇談会幹部で固め、下村博文(前自民党改憲推進本部長)を党選対委員長、安倍側近の世耕弘成(前経産相)を参院幹事長、改憲4項目素案をまとめた細田博之を再び改憲推進本部長に起用した。

 極めつきは、安倍の意を受け加計学園問題で文科省に圧力をかけた萩生田光一を文科相に抜擢したことだ。萩生田は、「ワイルドな憲法審査」発言で改憲推進を図り、教科書制度の改悪を進めてきた歴史修正主義者である。台風直撃で深刻な被害の真最中のこの組閣劇は、市民生活など一切顧みることなく改憲にひた走る姿をあらわにした。

 安倍は、この内閣改造で、臨時国会に自民党案を提示し改憲案発議への動きを加速しようと狙う。これは衆参両院で3分の2を占めながら改憲発議できず、その3分の2も失ったことへの焦りの表れだ。

 しかし、市民は改憲など全く望んでいない。新しい内閣に期待する課題は「社会保障」が28%で最も多く、「改憲」は最下位の5%(9/9NHK世論調査)。民意とアベ政治はかけ離れる一方なのだ。

市民の怒り恐れる

 10月1日から強行されようとしている消費税増税は、市民・労働者の家計を直撃する。7月の実質賃金は前年比0・9%減で、今年に入って7か月連続マイナス(厚労省毎月勤労統計調査)。生活が悪化の一途をたどる今、負担増はまさに命と暮らしを脅かす。消費税は廃止しかない。

 安倍政治への市民の怒りは、埼玉県知事選(8/25)、岩手県知事選(9/8)で自公候補に突き付けられ、野党統一候補が大きく勝利した。

 安倍は、こうした怒りや不満が広がることを何より恐れている。だから執拗な韓国叩きで「敵」を作り、市民の不満を外に向ける。政府とマスコミが連日繰り広げる排外主義宣伝で、韓国の「ホワイト国」適用除外について賛成59%(9/8JNN世論調査)と危険な状況が続く。だが一方で、日韓関係の改善を望む声は79%(同)と大半を占める。

 今回の改造では内閣支持率上昇を狙って小泉進次郎を入閣させた。メディアによって上昇、低下と差があるが、消費増税や安倍改憲に批判が多いのは引き続き共通だ。「進次郎効果」で批判をかわしても、災害も大停電もほったらかしにした市民生活無視は隠せず、思惑通りにはいかない。安倍のもくろみを運動で打ち破ることは可能だ。

地域からの対話で

 改憲と排外主義に対抗し、それを許さない世論を地域から作りださなければならない。市民にとって日韓関係改善こそ当然の願いだ。改憲と軍拡、排外主義批判を強め、生活破壊への怒りを対話で広げよう。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は「軍事費より社会保障を!安倍政権の即時退陣を求める署名」を開始した。地域の隅々に足を運び対話を行おう。韓国への経済制裁即時中止、軍事費ではなく市民生活に予算を回せと訴え、安倍政権を退陣させよう。

   (9月16日)
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