2019年11月01日 1598号

【1598主張 でたらめの極み 自衛隊中東海域派兵 派兵、改憲より生活が先だ】

違憲を重ねるアベ派兵

 安倍首相は10月18日、国家安全保障会議(NSC)で、中東ホルムズ海峡周辺への自衛隊派兵の具体的検討を指示した。米国の対イラン軍事包囲網である「有志連合」には参加せず、派兵根拠は防衛省設置法の「調査・研究」という。この派兵は、明らかな憲法違反であるだけでなく、でたらめ極まりないものだ。

 政府自身、「(日本の)船舶の防護がただちに必要な状況にはない」(10/18菅官房長官)と言う。これでは、戦争法による「重要影響事態」の名目では派兵できず、海賊対処法や自衛隊法が定める「海上警備行動」として派兵することも不可能だ。苦しまぎれの手法が「調査・研究」の拡大解釈なのだ。

 この規定は、国会承認も報告も不要とされる。2001年の9・11テロ直後、米軍への支援活動前にインド洋に自衛隊を先行派兵した際にも使われた。政府はその後、「調査・研究」目的だった自衛隊に、強行成立させたテロ対策特別措置法を適用することで派兵目的を変更。「正式」にアフガニスタン戦争に参戦したことを忘れてはならない。

 ホルムズ海峡周辺で自衛隊が得る情報は、日米軍事一体化の下で当然米軍と共有される。形式上「有志連合」に参加しなくとも、実質的に米軍と共に行動する。武力衝突など不測の事態が起これば、集団的自衛権行使・武力行使へと踏み込むのは明白だ。派兵を断じて許してはならない。

すべては改憲のため

 安倍は、とにかく自衛隊の海外派兵を既成事実化し、こうした状況に慣れさせ、集団的自衛権行使から“悲願”である改憲への流れをつくりだそうと躍起になっている。

 その一方、徴用工問題への報復経済制裁など異常な韓国たたきで排外主義と敵対感情をあおり、10月22日天皇代替わり式典でナショナリズムをかきたてる。一連の即位儀式は、旧憲法下の登極令(とうきょくれい)と神道にのっとって天皇が皇位につき臣従を迫る天皇神格化の宗教行事だ。憲法の政教分離、国民主権原則に反することもかえりみず、11月の即位祝賀パレードで「新時代ムード」を浸透させることを狙う。それもこれも、派兵・戦争路線への批判をそらし、改憲に誘導するためだ。

軍事費より災害対策

 一片の道理もない「有志連合」への参加国は英国、オーストラリア、バーレーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の5か国しかない。ところが、日本の派兵決定で韓国も派兵を検討(10/18中央日報)と伝えられる。

 今こそ、韓国、沖縄民衆との連帯を強めるときだ。団結まつりに続き12月ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)スピーキングツアーでは韓国、沖縄の反基地運動と交流を深める。日韓両国の派兵、新基地建設と大軍拡をやめさせ、東アジアに軍縮と平和をつくりだそう。

 過去最大5・3兆円の軍事費、憲法違反の166億円もの即位関連費用など市民には必要ない。台風19号の甚大な被害への政府緊急対策は、わずか7億円にすぎなかった。軍事費を抜本的災害対策や市民生活改善に回せの声を大きく広げよう。

 戦争と排外主義、生活破壊の安倍政権をただちに退陣させよう。

   (10月21日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS