2019年11月29日 1602号

【1602号主張 民主主義的社会主義へ これ以上安倍はごめんだ】

腐敗きわまる長期政権

 安倍首相の在任期間が11月20日で2887日と憲政史上最長となった。しかし、その足元はぐらついている。

 菅原前経産相と河井前法相の公職選挙法違反での辞任に続き、今、安倍首相自身のでたらめと違法行為が次々に暴かれている。内閣主催「桜を見る会」に地元の後援会員らを招待し税金5518万円を使って供応。安倍後援会関係者850人招いた「前夜祭」では最低でも1万1千円以上という宴会の会費が5千円だった。明らかな後援会活動にもかかわらず収支は政治資金収支報告書に記載されていない。安倍は「領収書も明細書もない」とごまかす。一体だれが信じるというのか。政治資金規正法違反、公選法(買収供応)違反で刑事告発すべき重大問題である。

 安倍は12月9日会期末までに国民投票法改定案を成立させ悲願の改憲に進もうと、来年の桜を見る会を中止し、一方的会見で幕引きを図る。だが、そうはいかない。全容解明で法律違反を追及し、退陣に追い込まなければならない。

憲法いかし生存権保障を

 憲法で保障された私たちの人権が脅かされている。萩生田文科相の「身の丈」発言は教育格差を肯定し、憲法第14条(法の下の平等)と教育基本法第4条(教育の機会均等)を否定した。「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付は憲法第21条(表現の自由)の侵害だ。大企業が優遇税制で内部留保463兆円と7年連続過去最高を更新する一方、労働者の実質賃金は減り続けている。生活保護費の削減、医療・介護の自己負担の引き上げ、年金の抑制・削減、消費増税により、憲法第25条の生存権が脅かされている。アベ政治によるこれ以上の人権破壊は許されない。

 必要なのは、安倍改憲ではなく、平等と基本的人権を保障する憲法の実現だ。まず、憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活」をすべての人びとに保障する。そのために医療、介護、教育を完全無償化し、年金を少なくとも最低限の生活を保障する年金として税金で賄う。

 財源は、不公平税制をただし、グローバル資本、資本家、高額所得者への課税強化で確保する。カジノ、リニアなど大規模事業や軍事費の削減でも大きく調達できる。

根本的変革の道

 米国では、11月5日の地方議会選挙で、DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)やその推薦候補が10州で当選。社会主義を公然と表明する勢力が躍進した。掲げる政策は、メディケア・フォー・オールをはじめ医療、教育、環境など生活領域を資本の支配から解放し、地域から市民に取り戻すものだ。フィラデルフィアでの20万軒以上の戸別訪問に象徴されるように、ドアをノックして対話を重ね人びとの支持を広げている。

 12月12日総選挙を控える英国のコービン労働党も、富裕層への所得税率引き上げや金融取引税の導入、鉄道、郵便の再国有化などを提唱する。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)の「軍事費より社会保障を」署名を手に、地域からの対話で生存権保障、安倍即時退陣の世論を広げよう。平等と基本的人権を実現する根本的変革―民主主義的社会主義への道を切り開こう。

   (11月20日)
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