2000年11月17日発行665号 ロゴ:なんでも診察室

【カゼ用グッズを考える】

 久しぶりにカゼをひいてしまいました。クシャミの数時間後、身体の節々・筋肉と腹の痛みで眠れず苦痛でしたが「お父さんは大げさだ」などと言われないようにじっと我慢した、いや、我慢したつもりです。そこで、今回はカゼ用グッズを考えてみました。

 何年前からでしょうか。額に絆創膏のようなものを貼った子どもが受診するようになりました。これはカゼ用グッズの大ヒット商品で、この時期「熱さまシート」などの商品名で薬局にうず高く積まれています。「しっかり冷やす」などと宣伝されていますが、水をジェルに含ませているにすぎません。これを何枚か貼ったところで熱は下がりません。しかし、カゼを治すためにはもともと熱は下げない方が良いのですから、害もない商品です。とはいえ、典型的な使い捨て商品ですし、一枚百円前後で、一日数枚必要です。

 確かに、このシートは熱が高いときには、冷たい感じがして気持ちが良いかも知れません。それなら水枕の方がより効果的と思われます。冷やすとき注意すべき点は、身体が体温を上げようとしているとき、冷たい物に触れると、かえって気持ちが悪くなることもあります。気持ちよさそうなら冷やして、いやそうなら止めるべきです。

 カゼを早く治す効果が証明されているのが、部屋の湿度を高めることです。欧米で証明された方法ですが、日本でも最近の住宅は気密性が高く、暖房すると空気がひどく乾燥する冬では特に効果があると思われます。加湿する器具は一万円程度だと思います。一万円は高いとおっしゃる方には、古典的カゼ用グッズであるマスクがあります。マスクはハナ・ノドなどの気道の乾燥を防ぎます。一晩百三十ミリリットルの水分喪失を防ぐというデータがあります。また、マスクと加湿を合わせると大変有効という効果も出ています。それに、少々ハナが出ていても隠せますので重宝です。

 蛇足ですが、体温計は常備していますか? 熱が重症度を決めるわけではありませんが、経過を把握する非常に確かな目安になるのが体温です。

 なお、カゼ以外の呼吸器の病気については、小学館『家庭医学館』の「子どもの呼吸器の病気」の部分を私が書いていますので参考にしてください。

      (筆者は小児科医)

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