2000年12月22日発行670号

【宋神道判決 訴え退けたが、はじめて国際法上の国家責任を認定】

 日本はこれまで、国際法上の国家責任について一貫して無視してきた。しかし、国際的な批判の中で、いつまでもそうした態度をとり続けることができなくなっている。

 そのことを示したのが、十一月三十日に東京高裁が出した元従軍慰安婦の宋神道(ソン・シンド)さんの控訴審判決だ。

 同判決は宋さんの訴えを退けたが、一方で、戦後補償裁判では初めて国際法上の国家責任の発生を認定した。すなわち従軍慰安婦の労働が、強制労働条約(一九三〇年ILO総会で採択。日本は三二年に批准)の禁止する「強制労働」、および醜業条約(一九〇四年。日本は二五年に加入)の適用対象となる「醜業」に該当すると認定。「それぞれ条約違反による国際法上の国家責任が発生していると認められる」とし、国際法上の国家責任を解除するために、日本国は慰安所経営者や旧日本軍関係者に対する処罰や被害者救済措置を命ずるなどの「義務が生ずる」とした。

 この論理の流れに従えば、結論は国に賠償責任ありとならなければいけないが、判決は「日本国が右の国家責任を解除するための措置を実現させなかったとしても、そのことが重ねて国家自身の国際不法行為となるものではない」と強弁し、原告の訴えを棄却した。

 だが、こんな屁理屈がいつまでも国際的に通用するはずがない。

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