2001年02月02日発行675号 ロゴ:なんでも診察室

【効果的な禿げ対策 】

 子供を健診に連れてきた知り合いの看護婦さんから「この子の禿げは大丈夫?」と聞かれましたので、「最近ハゲという言葉に敏感になっているんや」と言うと、「ほんまや先生も、薄なってるね」と喜ばれ(?)ました。赤ちゃんは上向きに寝て頭の後ろをこすりますので、後ろの毛が根本で切れてしまうのですが、毛がどんどん生えてきますのでまったく心配いりません。しかし、私の場合は濃い毛にはもどりません。色々禿げ対策をしている仲間も多いと聞きます。

 そこで、医学名「男性ホルモン性禿げ」にも科学の光をあててみました。眉唾物ばかりと思っていましたが、相当厳密な研究結果が多数報告されていました。それらは、男性ホルモンを押さえる5AR、HairPrimeという薬草抽出物、波動電磁場、魚の抽出液ViviScal(R)、ムコ多糖類とデオキシリボ核酸の「新製品」、紫外線療法です。紫外線以外は、効果があったとされていますが、厳密な研究はそれぞれ一つだけしか報告されていなく、うのみには出来ません。なぜなら、毛はえ薬のような大変儲かりそうな薬ではデータを操作するようなことも考えられるからです。もちろん、これら以外の厳密な研究がない物はまるっきり信用できません。

 前述の物と違い、商品名「リアップ」として発売されている毛はえ薬ミノキシディルについては、アメリカ・ドイツ・オランダ・スカンジナビアなどから、少なくとも二十五の厳密な研究が報告され、ほとんどが効果があったとしています。したがって、どうしても対策を講じたい人には、リアップがいいと言うことになります。 

 ただし、最適とされているのは二%溶液ですが、日本で発売されているのは副作用を少なくするため一%溶液ですので効果は落ちると思われます。しかも、最近の報告では二十四週間薬を休むと、使わなかったグループと同じレベルにまで戻るという結果も出ています。また、効果があるといっても少し毛が増えた、ないし減り方が遅くなった程度が多いのです。全く効果がない人もいます。それでも使いたい人は、しばらくつけてみて、皮膚炎になったり、効果がなければやめましょう。予算は、月五千五百円です。

 私自身は、少々寂しいですが、病気ではないのですから自然の摂理にあまり抵抗せず、娘の言うように、清潔にすることで魅力を保とうかと思っています。

     (筆者は小児科医)

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