2001年02月16日発行677号

【神戸市の被災者切り捨て許さない 報復人事撤回求め地裁提訴】

 「生活保護のケースワーカーから事務職に異動させられたのは、市政を批判するビラをまいたことへの報復人事だ」と神戸市職員の高橋秀典さんが処分の取り消しを求めて一月二十三日、神戸地裁に提訴した。

 阪神大震災当時、高橋さんは長田区福祉事務所のケースワーカー。震災後、避難所などで暮らす被災者への生活保護適用を認めない神戸市当局をビラで批判。翌九六年四月、当局は職種のまったく違う兵庫区市民部への配転を命じた。

 神戸市人事委員会に不服申し立てし、五年間にわたる公開審理で人事異動の不当性と被災者を切り捨てる当局の姿勢を追及してきた。しかし人事委員会は昨年十月二十四日、不当にも申し立てを却下。当局側の主張を鵜呑みにし、きっかけになった被災者への人権侵害には一言も触れなかった。

被災者・市民団体かけつけ

 提訴後、高橋裁判闘争決起集会を開催。高橋さんは「人事委員会の裁決が私の主張をねじ曲げていることに腹が立った。住居が定まっていない人の生活保護を認めなかったことはないと嘘をついている。そこを変えさせたい」と決意を表明。桜井健男弁護士は「裁決は最悪のもの。職場ビラを注意することが当然だとするなど、第三者機関としての役割を果たしていない」と強く批判。「裁判所は人事委員会と違い、事実についての認否を求めてくる。生活保護行政のちぐはぐな対応、神戸市の問題をあぶりだせる」と意義を強調した。

 駆けつけた被災者や市役所職員、他の自治体のケースワーカー、ホームレスへの支援団体も相次いで発言。「神戸市は市民の要求にふたをするというより、敵視するという態度だ。市民の声を集めて支援を広げよう」(兵庫区・被災者)、「不当裁決のビラを市役所で配ったら、ビラがあっという間になくなった。職員の関心は強くなっている」(神戸市職員)、「人事委員会提訴後、いろんなところで波紋が広がっている。避難所の問題から路上生活者への支援対策につながっている」(神戸の冬を支える会)など支援の声が集中した。

 第一回の口頭弁論は、神戸地裁で三月十二日に開かれる。

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