2001年04月20日発行686号

【野宿生活者にも生きる元気を 大阪・長居公園元気ネットワーク結成 心の垣根を取り除いて】

 三月三十一日、大阪市住吉区で「長居公園ぐるっと周辺住みよい街づくり元気ネットワーク」が結成された。三年前、生きる元気を生み出す場として結成された「住吉元気まつり」の実行委員会が母体となった。違いを認め合い、誰もが住みやすい街づくりをめざすものだ。結成集会にはまつりを担ってきた人々に加え、公園での野宿生活体験者など幅広い人々が駆けつけた。

「元気ネット」結成会 click
写真:元気ネット結成会

 「もっと多くの人が参加できるようにとネットを立ち上げた。互いにやりたいことを実現していこう」と口火を切ったのはネットワーク代表の佐々木和晴さん。元気まつり実行委員長を第一回目から担ってきた。

 企画担当は障害者自立支援センターで働く山浦孝臣さん。「会の目標は『ユニバーサル』。バリアフリーを越えて、こころの垣根を取り除きたい。お年寄りや障害者だけじゃなく、誰もが住みやすい街づくりをめざす。仲間の権利を守るため、行政交渉もありえる」と会の意義と役割を強調した。

 今後の取り組みに向けた積極的な発言が次々に飛び交う。ある障害者は「大阪の街に車椅子でも気軽に乗れるLRT(低床式路面電車)を実現したい。また、楽しい食事ができる場所がどこにでもあればいい。私たちの行動が広がることが元気の出る街」と抱負を話す。

「仕方なく野宿生活」

 大阪市は全国一の規模の野宿生活者を抱える。市内でも有数の野宿生活者が暮らす長居公園に大阪市は今年一月、対策として全国初の生活支援センター(仮設住宅)を設置した。しかし公園内で野宿生活を続ける人も多い。また公園の周囲には、生活保護を受けてアパート暮らしを始めた人たちも多い。居宅生活を始めた人たちが互いに支えあう「憩いの会」からもネットワークに多数の参加があった。

野宿者が暮らす公園 click
写真:野宿者が暮らす公園

 「私は目が悪くなって会社から解雇された。六十五歳未満なので福祉に行ってもダメだった。いまは健康体であっても雇ってくれるところがないのに。仕方なく野宿生活に…」「アパート暮らしになっても、地域の人たちとトラブルなく暮らせることは大きな課題。私たちの仲間で地域との交流ができた人はまだない」などの深刻な体験談も打ち明けられた。

 「憩いの会」結成や野宿生活者への支援行動を担ってきた寺尾正文さんは「野宿生活に戻らず居宅生活を安定させるためには、地域とともに生きることが大切だ。元気ネットとのかかわりを大事にしたい」と大きな期待を寄せる。

 ネットワークの会員からは「いま公園にガードマンが常駐し、新たな野宿者を阻止している。阻止された人たちは仕方なく公園周辺にテントを建てている。大阪市のやり方は根本的な対策になっていない」「設置された仮設への訪問活動をしよう。設備の状況などを調査したい」などの声も集中した。

在日外国人の参加

 今後の行動も決まった。四月にはバリアフリーのお店を訪問、五月には長居公園周辺の野宿生活者の声を聞きとることなどだ。

 事務局長の松田幹雄さんは「今日は障害者や元ケースワーカー、野宿生活体験者、公園周辺の住民など様々な人々が集まった。在日外国人の人たちなどからも参加への承諾がもらえています。まだまだ広がりますよ」と手ごたえを話した。

ホームページに戻る
Copyright FLAG of UNITY