2001年05月4・11日合併号688号

ロゴ:沖縄戦後史のメロディ 海勢頭 豊
第4回『さとうきびの花』〜姿勢を正し毅然として咲く花

『さときびの花』

 沖縄の戦後の風景をさとうきびの花に託して1974年に作った歌で、私の代表曲の一つです。

写真:さとうきびの花

 沖縄の代表的な産業は製糖業で、多くの零細農家は換金作物としてさとうきびを栽培していました。11月中頃涼しい北風が吹き出すと、さとうきびは花を咲かせます。穂の花ですから、派手なものではありませんが、真っすぐ天に向かって咲く花はうす紫や銀色に光ってとてもきれいなものです。

 90日間にも及ぶ沖縄戦の後、戦災の瓦礫の下から一番最初に花を咲かせたのは、さとうきびの花ではなかったのか。北風、南風にゆれながらも、真っすぐ姿勢を正して毅然と咲く花に、沖縄の心を託しました。この歌のもつ重みは現在においても変わらないと思います。

 この歌は某テレビ局のドキュメント番組の依頼で作ったのですが、歌の内容が濃すぎるということで不採用になったいわく付きの歌です。でも、沖縄の日本復帰10周年を記念して、NHK「みんなの歌」で都はるみさんが歌って全国放送されました。

 復帰の当時、各離島から若者たちの流出が続き、農家では特にさとうきびの収穫に人手が足らなくなって困っていた時代でもありました。

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