2001年06月01日発行691号 ロゴ:なんでも診察室

【あなたにもせまる隔離の危険】

 「あれは、けしからん!」

 これは、学童保育児の親が集う美人ママの居酒屋で、薬害エイズの安部元帝京大副学長が無罪になった話題に対する「飲み友」の反応でした。

 五月十一日、ハンセン病患者を不当に隔離してきた国に対し、熊本地裁は、らい予防法を違憲として十八億円の賠償を命じたことはご存じかと思います。しかし、一週間後に政府の控訴の方針が報じられました。水俣病や戦後補償と同様に、まるで被害者が死ぬのを待っているかのようで、本当にけしからんことです。患者原告団の強い抗議と国民の怒りの声をうけて、政府は二十三日に控訴を断念せざるをえなくなりました。

 ところで、一九五三年に「らい予防法」が、ハンセン病患者の隔離を継続したまま「改正」されました。すでにその当時、隔離は世界の医学的常識からかけ離れていて、患者等の強い抗議を受けました。その隔離を推進したのは「救らいの父」として文化勲章を受けた光田健輔らの専門家集団だったのです。しかも、その後も彼らは世界の医学を無視し続けています。薬害エイズとの共通点を感じませんか? また、私がこのコラムで紹介してきた「脳循環代謝改善剤」「喘息に対する経口抗アレルギー剤」や最近の抗コレステロール薬など、学会ぐるみの詐欺的行為とも共通しています。

 とくに、感染症に関する学会は、元ミドリ十字の内藤会長を代表として、中国人などへの細菌兵器などの人体実験を繰り返した731部隊の影響を強く受けています。今の感染症予防政策を考えると、ハンセン病患者の被った被害はいつ我々の身に降りかかるかわからないのですよ。

 「そんなはずはない」と言う方に論証しましょう。例えば、現在の感染症に関する法律では、コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・ポリオ・ジフテリアでは隔離病棟へ入院させられることになっています。しかし、コレラは人から人へ感染しないし、腸チフス・パラチフスも一般病棟でいいし、ポリオの絶滅した西太平洋地域では生ワクチンによる発病しかないので、隔離は必要ないのです。また、ジフテリアは抗生物質ですぐ感染しなくなるので極初期の隔離だけでよいのです。

 以上の多くのデータは兵庫医大の谷田憲俊氏の論文を参考にさせていただきました。彼は、現在の法律では年間千人の人が患者自身にも周囲の住民にも無意味な入院を強制されることになる、と予想しています。

    (筆者は小児科医)

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