2001年07月20日発行698号

【小泉首相は靖国公式参拝を中止せよ 戦没者遺児が小泉首相に直言する集い 「合祀抹消へ闘う」と韓国人遺族が訴え】

 七月七日、都内で「日本と韓国の戦没者遺児らが小泉首相に直言する集い」が開かれた(主催・平和遺族会全国連絡会)。小泉首相の靖国神社公式参拝の中止を求めて、八月十五日に集会と平和行進に取り組むことを呼びかけた。

小泉の参拝は戦争賛美

 集いでは三人の遺族から、参拝を公言する小泉首相への批判が相次いだ。

国家が犠牲者を利用

 父がフィリピン・レイテ島で戦死した三浦永光さん(津田塾大教授)は「小泉首相には靖国神社そのものへの理解がない。靖国神社は戦時中は戦意高揚のための施設であり、戦後も『国事に殉ぜられた人々を万代に顕彰する』ことを社憲にしている。その靖国に行くということは『戦争は正しかった』と認めるのと同じ。二度と戦争をしないと言うなら、靖国に行くべきではない」と怒る。

 真宗遺族会事務局長の菅原龍憲さんは父をニューブリテン島で亡くした。「国家の戦争責任を回避するために戦死者が『英霊』として利用されている。国家によって犠牲にされた者を国家がほめるということは、戦死者を再びおとしめることだ。ガイドライン法が成立したが、精神的動員体制をつくらなければ絵に書いたモチ。そうした人間の内面支配の機軸になるのが靖国神社だ」と信教の自由の大切さを訴える。

靖国合祀やめろと訴える李煕子(イ・ヒジャ)さん(7月7日・東京)
写真:靖国合祀やめろと訴えるイ・ヒジャさん

新たな侵略に危惧

 参加者の胸を強く打ったのは韓国・太平洋戦争被害者補償推進協議会副代表の李煕子(イ・ヒジャ)さんの訴えだ。父親は李さんが一歳の時、軍属に徴用され中国戦線にかり出された。

 「日本政府は家族に死亡通知さえせず、父を勝手に靖国神社に合祀した。私たちは父の生死を知ることもできず苦しみを背負いながら生きてきた。靖国参拝を公約している小泉首相が高い人気を得ていると聞き、日本は新たな侵略をしようとしているのかと危惧を抱く」。

 加害民族と被害民族を合祀し、戦争責任を不問にしているのが靖国神社だ。李さんは涙で言葉を詰まらせながら「合祀をやめさせないかぎり、父に会わす顔がない。残された時間、合祀抹消のために闘い続けて命を全うしたい」と語った。

8月15日に平和行進

 会場からは、李さんも原告の一人である在韓軍人軍属裁判への支援も訴えられた。「カトリック教団として『つくる会』教科書不採択の声明を出した。香港からだけでも三百人の賛同メールが届いた」などの発言もあり、靖国参拝阻止や教科書不採択の闘いがアジア全体の課題であることが浮き彫りになった。

 まとめで西川重則平和遺族会連絡会事務局長は「私たちにとって八月十五日は特別な日だが、二十一世紀最初の今年は小泉の参拝を阻止するために頑張りたい。八月二日には首相官邸に押しかけ、院内集会を開く。十五日は一人一人が体をはって平和的行動で参拝に異議ありを訴えよう」と呼びかけた。

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