2001年08月03日発行700号 ロゴ:沖縄戦後史のメロディ 海勢頭 豊

第16回『マブイ風』〜現代の社会にマブイ込め

写真:映画MABUIの一シーン

 1998年の秋に映画『GAMA−月桃の花』の続編として沖縄の過酷な時代を生き抜いた子どもたちを主人公にした映画『MABUI』が完成しました。その中で主題歌「マブイ口説」と挿入曲「マブイ風」を創作し、後に歌詞を付けて歌うことにしたものです。

 マブイとは沖縄の言葉で「魂」という意味。本来は日本語の「真振り」が訛ったものですが、沖縄ではマブイを失うと気が抜けたようになってしまうので、「マブヤーグミ(マブイ込め)」という儀式を行います。

 「マブイ風」は、マブイを取り戻そうとする心のエネルギーのことです。映画では、子どもたちが体験する生と死と別離の苦悩と、それを越えて希望を取り戻そうとする場面で使いました。

 今、日本の心は脆弱で社会に価値を見い出せない状況です。沖縄に基地を押しつけてきた差別的精神による不作為の行為を繰り返し、米軍基地問題と沖縄の経済問題の解決を先のばしにしてきました。それは個の中に自立する魂−マブイがない為に民主主義が機能していないからです。物質に核があるように、心にも中心に核となるエネルギーがあって初めて安定するのです。政治の流れを見ていると、このままではこの国は、魂の抜けた人間集団が、歴史の呪縛に操られ、存在の価値を失い、破局に向かってしまいます。だが、私たちは、その呪縛を笑いとばして打破し、未来の主役である子どもたちを育てあげるパワーがあるのです。マブイ風とは、新たな民権運動であり、アジアや世界の民衆と連帯していける心の風なのです。

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