ＣＤ『ザンの海』

　名護市の東海岸に住みジュゴンの里づくりをめざす青年・東恩納琢磨君の強い要望と大阪出身の故山口弘さんの熱意を受けて2000年10月のアンマンのＩＵＣＮ大会に間に合わせて作った歌です。

　ジュゴンのことを沖縄ではザンと言います。若い頃までは私の生まれ育った平安座島の周辺の海にもジュゴンはいました。あの豊かだった海を元に戻し、ジュゴンのすむ生命の海を守ることが、沖縄にとっての宝の価値を生み出すことを知らなければいけません。ジュゴンを守りきれないようでは、未来に夢はなく、人類と地球環境は破滅に向かいます。

　21世紀を生きる子どもたちへのプレゼントのつもりで童謡として作った『ジュゴンのジュンちゃん』、名護市のいわゆる東西問題を皮肉った『恋のジュゴンちゃん』とともに作った『ザンの海』は、水平線が見える雄大なスケールの歌にして、ジュゴン保護の意識を高めるためにＣＤに集録しました。

　琉球の歴史的・精神的誇りを取り戻し、それを掟とするような内容にしています。歌詞に出てくる竜宮は理想郷をさし、神は天地宇宙の創造主で、決して人間が勝手に作り出す新興宗教の「神」のようなものではなく、自然に生きる者の摂理とでもいえるものです。