2002年03月22日発行731号 ロゴ:なんでも診察室

【花粉症】

 春の予感と共に、我が家には「ハックション」と鼻をかむ音が訪れました。もちろん病院にも「クシュン」や目を掻いている人が多数訪れています。ご存じのように、二月から四月まではスギ花粉症が流行り、三月中旬から五月までヒノキ花粉症が続きます。その他、ネズやブタクサなど多数の花粉によるものもあります。いまや、花粉症は耳鼻科・眼科を中心とする医療機関と製薬会社のドル箱的存在です。それもそのはず、東京都全体ではスギ花粉症は人口の二〇%ほどにもなっています。

 花粉症は、花粉の飛散状況や症状で大体診断できるのですが、単なる風邪でも同じ症状が出ますので、区別できないことが多々あります。鼻汁を染色して顕微鏡で見る検査で診断がより正確になりますので、私はこの検査をしています。数分間でできる簡単な検査で、英米の教科書には必ず書いている検査ですが、日本ではあまりされていないようです。花粉症と言われたがすぐ治ったという方は、薬に感謝する前に、実は風邪だった可能性を疑うべきでしょう。

 読者の皆さんやご家族に花粉症の薬を使っておられる方も多いと思いますので、花粉症に対する確かな効果が証明されている薬を紹介します。まず、クロモグリク酸(商品名「インタール」)は点鼻・点眼します。シーズンの少し前から予防的に使うと効果が大です。副作用がほとんどありませんのでまず試すべき薬ですが、異常に高い独占価格なのが問題です。これが入った市販薬も出ています。次が、抗ヒスタミン薬群です。多種の飲む薬と点鼻・点眼薬があります。同じ効能なのに「抗アレルギー剤」と名付け値段を十倍以上につり上げ、安全性も疑わしいものが多用されているのが日本の問題です。なお、飲み薬で眠気やだるさが強い時は、眠気が少ない物に代えるように医者などに要望してください。

 最も強力なのがステロイドの点鼻や点眼剤です。飲むステロイドと違って副作用は非常に少ない物です。変な飲む薬よりずっと安全ですが、使って症状が悪化するようなら中止してください。その他のほとんどの薬は無効です。漢方薬も科学的な根拠がありません。

 花粉症グッズでは、マスクは普通の安いマスクと花粉症用の高価な物ではあまり差がないので、安いのを何枚も使う方が良いようです。防御カバーのついた眼鏡も効果があるようです。 不快感は強くても喘息のように命に別状のない病気です。薬を飲み過ぎたり変わった治療で命を落としては意味がありませんのでご注意を。

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