七月の第三十二回平和と民主主義をめざす全国交歓会で決議された、戦争を止める9・11国際共同行動。フィリピンでは、親と子のためのNGO・AKCDF(アバカダカユマンギ地域発展基金)代表の音楽家ポール・ガランさんなどによって準備が進んでいる。
戦争をやめろ
九月十一日に計画されている行動の名称は、「KAPATIRANG MAPALADKA(カパティラン・マパラドカ)」。「カパティラン」は「連帯」、「マパラドカ」は「戦争と暴力に反対する親と子」という平和のネットワークを意味する。
NGO・AKCDF代表の ポール・ガランさん
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「Don't kill our children. Stop the war, now!(子どもを殺すな、今すぐ戦争をやめろ!)」をスローガンに、マニラ首都圏ケソンシティーのメモリアルパークやフィリピン大学周辺で、一日平和行動を展開する。主な内容は、(1)宗派をこえたミサ、(2)ピースパレード、(3)子どもの平和絵画展、(4)戦争の惨禍を伝える写真展や文化イベントなどだ。
広がる担い手
この行動は、今年三月にもピースパレードや平和キャンプに取り組んできた、地域からのマパラドカ運動を発展させたものとなる。
中心となっているポールさんは、「今回の行動は、AKCDFのラーニングセンターに子どもを通わせている親たちが準備しているのが特徴。イベントのための財源づくりも自分たちで考えている」と担い手の広がりを喜ぶ。ラーニングセンター保護者会の副代表ラモスさんも「八月九日に六つの地域の代表が集まり、夜遅くまでかかって役割を分担した。みんなぜひ協力してほしい」と呼びかけている。
日本の若者と交流する フィリピン大学学生協議会のメンバー
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さまざまな平和団体やNGOの協力も拡大している。三月の平和キャンプにも参加した従軍慰安婦の補償を求めるリラ・ピリピーナ、マニラ北部パヤタスごみ捨て場の住民団体や支援の都市貧民組織カダマイなども、すでにこの一日行動参加を予定。また、AKCDFのアガサさんは「私も昨年属していたフィリピン大学学生協議会が論議して参加を決めた。メンバーはみな友人です」とうれしそう。賛同はまだまだ増えるという。
戦争でなく教育へ
わずか数十人の犯罪者集団アブサヤフ掃討を口実に多くの人権侵害をもたらした米比合同軍事演習は七月三十一日に一たん終了したが、十月には再び開始される。米国は「テロ対策」として反政府勢力NPA(新人民軍)掃討のための巨額の軍事援助を約束し、フィリピン政府は「米軍の対テロ訓練を受けた部隊をNPAとの戦闘に投入する」と宣言した。
米比両政府の危険な動きに、ポールさんは「アブサヤフの次はNPAを『テロリスト』扱いし、さらにBAYAN(新愛国者同盟)や平和勢力を弾圧の対象とするのが狙いだ。米国やアロヨ大統領は平和運動が広がることを恐れているからだ」と9・11行動の意義をいっそう強調する。
「一日行動の中では、政府はお金を戦争のためではなく、子どもの教育や補償のために使うべきだと訴える。このような地域からの平和運動で、誰もが共存できる社会に近づけていきたい」