2002年10月04日発行757号

【新基地反対訴えトップ当選 名護市議の宮城康博さんが講演 ジュゴン保護へ全力】

トップ当選の勝因を語る
宮城康博さん(9月21日・大阪)
写真:宮城さん顔写真

 九月八日の沖縄県名護市議会議員選挙で宮城康博さん(ジュゴン保護キャンペーンセンター共同代表)がトップ当選した。その宮城康博市議が九月二十一日大阪で、「ジュゴンとともに生きる未来へ」と題して、当選の意義とジュゴン保護・新基地建設阻止への展望を講演した。(講演の要旨を編集部でまとめました)

建設断念求める市民

 今回の選挙には三十七名が立候補し、三十議席を争う厳しい選挙。私には大きな支持母体があるわけでもなく当選はおぼつかないと言われていた。ふたを開けると千三百六十八票、名護市議会始まって以来の高得票でトップ当選した。

 トップ当選できた最大の要因は、新基地建設阻止を旗色鮮明にして市民に問うたことだ。「九七年の市民投票で示された民意を実現する。そのために闘い続ける」の一点を強く主張した。また新基地建設と有事法制の動きは軸を一つにしたもの。戦争につながるものすべてに反対と訴えた。この二点が勝因だったことは間違いない。

 選挙前、地元二紙は基地問題は争点にならないとミスリードした。基地問題が争点でなければ、宮城康博がトップ当選することはない。今回、建設反対の立場で十一名が立候補、しかし当選したのは六名。それぞれ介護保険や教育、経済問題などをまんべんなく主張し、結果として基地問題が埋もれてしまった。私は街頭や全戸配布した後援会の新聞でしっかり主張した。このことが明暗を分けたと思う。

 選挙前、政府が新基地建設の基本計画を発表し、名護市議会はすったもんだの騒動になった。地元に何の説明もないと与党側から白紙撤回を求める提案が出た。しかし市長側の圧力に大多数が腰砕けした。最後まで奮闘したのはたった二名。これを有権者はしっかりと見つめていた。

 私の当選を喜び合う中で一人の支持者が「自分は保守系だが、戦争につながる一切のものを容認できないから康博を支持する」と言ってくれた。明らかに名護市民は建設断念を求めている。私は正々堂々と筋の通った議論を議会内で起こしていく。

みんなで決めるシステムを

 議会外ではジュゴン保護の運動を徹底的に進め、世論を喚起する。東京と沖縄で国際シンポジウムを開く。WWF(世界自然保護基金)フィリピンのロメオ・トロノさんやオーストラリアのヘレン・マーシュ教授らを招き、アクションプログラムを立案する。

 急がなければならない問題はまず漁網への対策。その次に生息域の中央部となる辺野古の海の問題。新基地が建設されると絶滅する恐れが強い。環境アセスメントにどう関わっていくかだ。年内にも予想される調査項目を示す段階で、リーフのしっかりとした調査を求める。また辺野古の海にはコモンズ(共有地)、言わば入会権(いりあいけん)の海版がある。この海をつぶすことへの地元の意見を聞き、被害やコミュニティーへの影響を明らかにさせる。アセスメントの中に地域住民の声をしっかり入れさせたい。

 大切なことはみんなで決めることだ。一人ひとりの意見を反映するシステムを作っていきたい。ジュゴン保護の国際世論づくりにもこの四年間、向き合っていく。

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