レバノンのパレスチナ難民キャンプで二千人の住民が虐殺されたサブラ・シャティーラ事件から二十年目にあたる九月十八日、「サブラ・シャティーラから二十年、そしてパレスチナの今」と題する集いが都内で開かれた(主催はJVC〈日本国際ボランティアセンター〉など)。
映画『夢と恐怖のはざまで』の上映とコンサートの合間に、「今市民のできることは何か」と題しトークが行われた。
田中好子さん(右)と 熊岡路矢さん
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パレスチナ子どものキャンペーン事務局長の田中好子さんは「なぜ今サブラ・シャティーラ事件を問題にするのか。二十年目だからではなく、パレスチナの今との兼ね合いで問い返さなければならないからです。当時の戦争犯罪人だったシャロンが今、首相になっている」と、シャロンによる国際法無視の戦争犯罪行為が再び繰り返されている危険な動きを批判した。
当時と今の戦争犯罪人
難民の現状について、「レバノンには三十五万人のパレスチナ難民がいて総人口の一〇%を占めている。しかし、市民権がなく健康保険証も持っていない。子どもは国連の難民学校しか行けず、中学生の一〇%が学校にも通えない生活実態だ。高校にも十人に二人しか行けない。映画で見たように、希望は明るく強く優しく生きている子どもたちの姿だけ」と語る。
今後の支援について田中さんは「日本の役所は『パレスチナは危険度が高く金は出せない』と、NGOをサポートするのではなく足かせになっている。市民の参加を促し、自分たちでやっていきましょう」と訴えた。
行動に移すとき
JVC代表の熊岡路矢さんはイスラエル軍の封鎖と占拠の中、八月にパレスチナを訪問した。「ジェニン難民キャンプに食料と医薬品を届けて来た。状況は一段と厳しくなっている。パレスチナとイスラエルのNGOが人権のための医師団を作り支援を続けている」と報告した。
ジャズピアニストの河野康弘さんは「もう黙って見ている時でないと思う。できることから行動に移す時です」と呼びかけた。イスラエル軍が自治政府の議長府を包囲し、爆破の脅しをかける緊迫した事態の中で、今すぐパレスチナ支援・連帯行動に日本から立ち上がる時である。