2002年12月13日発行767号 ロゴ:なんでも診察室

【不合理に対する嫌悪】

 十一月二十三日、私たちは虫歯予防に使われているフッ素の発ガン性などの毒性と、インフルエンザワクチンの無効有害性の勉強会を少人数で開きました。午後三時から始めましたが、講師に「部屋は九時までですが、何時までしましょうか?」と私。「九時まで。時間が足りないので夕食抜きでも」と言った方が、私の最も尊敬する医学者の高橋晄正氏、八十四才です。

 短い夕食をはさんで六時間、難しくて頭が壊れそうでしたが、理路整然とした講義を受けました。この種の勉強会では多少大きな顔もする私も、この方の前では本当に小さくなってしまいます。ふり返れば二十八年前、注射による薬害について少人数の集まりが高橋氏との出会いでした。この時の議論は、私にとってちんぷんかんでしたが、人生の一つの方向を決めました。この日、当時の私と同じ年頃の方が二人参加してくれました。

 さて翌日は、「高橋先生を囲む会」でした。会の実行委員長は、今や薬問題で最も有名な医学ビジランスセンター代表の浜六郎氏です。参加者は、二十歳代から七十歳代まで、医療を何とかしなくちゃと思っている薬剤師、養護教員、医師、歯科医師や学生など、それにスモン、筋肉注射、ワクチンなどの被害関係者が七十数名集いました。

 高橋氏は、アリナミンなど大衆保健薬批判から始まり、サリドマイド、スモンやワクチンなど薬害はもとより、食品添加物や学校給食、牛乳、ダイオキシン、光化学スモッグを含む大気汚染など数え切れない課題で国や企業と闘ってきました。最大の功績は、一九七一年からの十年間に、旧厚生省をして十一万品目もの効かない危ない医薬品を一万五千に減らさせたことです。氏の武器は徹底した科学性ですが、同時に「被害者に本当に優しかった」(スモン被害者)とのことです。

 講演は、前半が以上の活動の総括、後半がフッ素とインフルエンザワクチンの最新の資料も駆使して、大変分かり易く解説されました。

 講演後の質疑で、医学生から、「先生の生き方に感動しました。先生を突き動かしているものは何ですか」という質問に、「東北人気質」と、「不合理に対する嫌悪」を上げられました。

 講演が被害者やわれわれに元気を、特に若い人たちに感動を与えたことが感想文からも明らかです。高橋氏は世界に先駆けてコンピュータを駆使した診断医学を開発された方ですが、本格的なコンピュータ世代が、医療を含めて社会全体の「不合理を嫌悪」し、立ち上がるきっかけとなったと確信しています。

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