2003年01月31日発行773号

【視角 / 拉致問題に巣食う「救う会」幹部 / 正体は戦争挑発勢力】

 日本のテレビ業界では何か大きな事件が起きるたびに、「○○問題に詳しい誰それさん」が重宝される。最近の「北朝鮮問題報道」でも新手のコメンテーターが多数誕生した。

 そのなかでも、メディアへの露出が際立っている集団がいる。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(以下、「救う会」)の面々だ。拉致被害者・家族の代弁者のごとくふるまい、朝鮮への対決姿勢をさかんにアピールする「救う会」。彼らは一体何者なのか。

 「救う会」の幹部連中は、会長の佐藤勝巳を筆頭に、すべて「現代コリア研究所」人脈で占められている。そして、この「現代コリア研究所」は反朝鮮・戦争挑発の主張に凝り固まった、とんでもないイデオロギー集団なのだ。

 「現代コリア」のウェブサイトをのぞいてみると、「存在しなかった慰安婦強制連行」(佐藤勝巳)といった言説がいくつも並んでいる。西岡力(「救う会」副会長)などは、在日韓国人元軍人・軍属の傷害年金支給要求を「自分が韓国人であることを忘れた誇りなき特権要求」と罵っているほどだ。

 国家の暴力に運命を狂わされた人々に「救う会」の幹部連中はかくも冷たい。それは拉致被害者家族への態度からもみてとれる。横田めぐみさんの父・滋さんが訪朝の意向を表明した際、佐藤はこう言って圧力をかけた。「いま、横田さんが訪朝することは、われわれの運動の障害にもなる」(1/2・1/9週刊文春)。

 朝鮮にいる孫娘に会いたいという肉親の情を押しつぶす「われわれの運動」とは何なのか。それは日朝国交正常化の妨害である。

 「金政権が崩壊すれば拉致問題も一挙に解決します」(11/25「救う会」特別研修会)と佐藤が言うように、彼らの目的は金正日政権の打倒にある。拉致問題はそのために利用しているにすぎない。

 事実、「救う会」の日本政府への要求は、経済封鎖や朝鮮船舶の入港禁止措置、在日朝鮮人の再入国許可の停止にまでエスカレートしている。ここまでくると「拉致被害者の救出」という大義名分すら逸脱している。日朝交渉の決裂を狙った挑発でしかない。

 しかも、これらファナティックな主張に日本の外交政策が引きずられる異常事態が生じている。そのキーパーソンは安倍晋三官房副長官である。安倍と「現代コリア」の関係は深い。「拉致被害者を北朝鮮に帰さない」という政府方針にしても、安倍が「救う会」を牛耳る佐藤らと結託して実現させたことなのだ。

   *  *  *

 拉致被害者・家族に巣食う戦争挑発勢力−−それが「救う会」幹部の正体だ。マスコミが彼らを「人権活動家」のように紹介するのは、クソをミソと宣伝しているに等しい。  (O)

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