2003年02月28日発行777号

【ブレアの足元揺るがす ロンドン200万人デモ】

 イラク戦争を始まる前に止めようと、英ストップ戦争連合、米UFPJ(平和と正義のための連合)などが呼びかけた2・15国際統一行動。オーストラリア・メルボルンの二十万人集会を皮切りに、ローマ二百五十万人、ロンドン二百万人、ニューヨーク五十万人など、史上空前の反戦の波は地球を包み、”ブッシュの戦争”の前に立ちはだかった。ブレア英首相の足元を揺るがしたロンドンの歴史的な大行動を伝える。


ロンドンの中心部を埋め尽くした200万人の人の波(2月15日)
写真:見渡す限り、顔、顔、顔。パレスチナ国旗を打ち振る姿も。叫ぶ女性の姿。

 二月十五日英国の首都ロンドンは、「ノー・ウォー!(戦争反対)」「ドント・アタック・イラク!(イラクを攻撃するな)」のプラカードで埋め尽くされた。ロンドンの中心部を貫く街路にデモ行進する人々によって氾濫する大河が出現、それが途切れることなく集結地点のハイドパークに連なり、広大な会場は人々とプラカードの波による大海原に変わっていった。

 最終的にこの日の行動の参加者は、昨年九月二十八日の四十万人をはるかに超え、北部のグラスゴウやベルファストの集会を含めて二百万人に達した。誰もが英国の過去の平和運動の記録を圧倒的に塗り替え、史上最大の規模となったことを確信した。それは呼びかけ団体の予測だけでなく、ブレア首相が自己にとって「最悪」と予測したケースをはるかに上回るものだ。

 デモにはあらゆる人種の、子どもから老人までの様々な年代の人々が参加、広範な人々が連帯し、支え合う姿を示した。元気のいい若者、サンバのダンスチーム、車椅子の障害者、父親に肩車されながらプラカードを振る子ども、乳母車に幼児を乗せた若夫婦から中年・老年の夫婦連れ、胸に勲章を飾った軍服を着た退役軍人らしき老人がゆっくりと歩んでいく。

笑顔でVサイン

 デモ行進の巨大な規模が徐々に誰の目にも明らかになっていく。人々はその数に半ば驚き、自信を深めた。その表情はますますにこやかに、デモの雰囲気は和やかなものに変わっていく。歩道をゆく人々に笑顔をふりまき、デモへの参加を呼びかける。報道のカメラにはプラカードを大きく掲げ、勝利とピースのVサインを送る。

 「戦争止めよう」に混じって「メイク・ラブ、ノット・ウォー(戦争ではなく、愛を)」のプラカードが目につく。この日のデモの雰囲気を最もよく象徴していた。

 茶目っけなグループは、マシンガンを構えたブレア首相にヘルメットがわりにティーカップをかぶらせ、「メイク・ティー、ノット・ウォー(戦争じゃなく、お茶にしよう)」のメッセージを載せ、ブレアを痛烈にからかった。

 ハイドパーク集会のメイン・ステージでは、労働党元党首のトニー・ベン、ロンドン市長のケン・リビングストンらが演壇に立ち、集会は午後六時まで続いた。

熱気あふれる空間

ブレア英首相を批判するプラカードが続く(2月15日・ロンドン)
写真:ティーカップをかぶり自動小銃を握るブレアの写真の上に「MAKE TEA NOT WAR」と書いたプラカード

 多くの参加者からは、メインステージは全く見えない。会場に設置された三基の大スクリーンによって演説を聞くだけだ。上空は曇りだし寒風がふきつけてくる。足元はぬかるみ、座ることもできない。しかし集会参加者は何時間も立ったまま、演説者のスピーチを一言も聞きのがすまいとスクリーンに向かい、演説に賛同するたびに一斉に大きな叫びをあげた。歴史的な行動を目の当たりにした自信と共感が会場を支配し、厳しい寒さにもかかわらず人々の熱気あふれる巨大な空間がそこにあった。

 最後に立った米国の黒人指導者ジェシー・ジャクソンが「われわれは厳寒の街角を燃え上がらせた。ブレアもブッシュもこの熱を感じるに違いない。戦争を止めるのに遅すぎることはない。平和と和解が生まれるまで闘い続けよう」と集会を締めくると熱狂的な歓声がわき起こった。

 この日の行動は、どこにでもいる普通の人々が担った。初めて反戦デモに参加した七十七歳の退役軍人も「ヒットラーと闘ったわれわれは正しかった。だが、ブッシュの戦争は全く間違っている」と語った(デリーミラー紙2/16)。

 ブレアの民意無視に対する怒り、福祉予算を削り戦争に血道をあげることへの怒り、イラクやパレスチナの民衆への共感などさまざまな思いが人々を立ち上がらせた。ストップ戦争連合は「二月十五日は、ブレアもブッシュも民衆を無視することなどできないことを示した日となる」と強調した。この思いを世界に広げれば戦争は止められる。

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