2003年03月07日発行778号

【小泉の靖国参拝に台湾の遺族が提訴 歴史を歪めてはならない】

 戦争への道をすすもうとする小泉首相の靖国神社参拝に、アジアの戦争被害者からの批判は高まるばかりだ。在韓遺族も原告に加わった靖国アジア訴訟につづき、二月十七日には台湾の遺族らが靖国提訴に立ち上がった。


 この日、小泉純一郎・国・靖国神社を被告に靖国参拝国家賠償請求の提訴をしたのは二百三十六名の原告。そのうち台湾籍の原告は百二十四名だ。

提訴したチワスアリさん(左)とインカメビンさん
写真:ひげのような民族特有の化粧を施し、法廷に向かう二人と支援者

 大阪地裁での提訴後の記者会見では、来日した原告代表が「歴史を歪めてはならない」と激しい怒りを表明した。

 台湾原住民族タイヤル族のチワスアリ(漢民族名・高金素梅)さんは日本の国会議員に当たる立法委員だ。

 「全部で十名いる原住民立法委員を代表して、最も強い抗議のために提訴した」と語り始めたチワスアリさんは、日本の軍国主義者による「二代滅族」の罪を告発した。

日本の軍国主義を告発

 「一八九五年に台湾を侵略し植民地統治を始めた日本軍は、一九一〇年から一五年の間に、台湾原住民の土地を強制的に没収した。生存の危機に迫られた原住民は抗日運動で蜂起したが、日本軍は武力を集中して弾圧、大規模な虐殺を開始した」。これが一代滅族だ。わずかに生き残った子や孫たちが青壮年になったころ、日本軍は原住民への重罪を犯した。

 「一九四一の太平洋戦争の勃発ののち、日本軍は原住民を強制的に徴兵。『高砂義勇隊』を作り、二万余りの人を南洋の作戦に送り込んだ。ほとんどが第一線の激戦地に派遣されたため、死傷者が非常に多く、戦後の生還者は三分の一だった。しかも、その大部分が戦傷者だった」。

 三回にわたる毎年の小泉の靖国参拝について、チワスアリさんは「小泉は被害者に参拝しにいっているのではない。軍国主義そのものに参拝しているのだ。小泉がまずするべきことは、すべての犠牲者に謝罪することだ」と思いを述べた。

 同じくタイヤル族のインカメビン(張雲琴華)さんは、「高砂義勇隊」として戦死した親戚二名の遺族だ。歌手でもあるインカメビンさんは祖先への思いを歌で表現。「あなたがたは孤独ではない。子孫たちが永遠にあなたを思っています」と歌い上げた。

 大阪地裁を舞台にした靖国裁判は、アジアから日本の軍国主義を告発する闘いに発展してきている。

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