2003年03月21日発行780号

【イラク戦争容認決議は国際法違反 平和への脅威はブッシュ】

平和的解決が多数

 三月八日、国連安保理外相級会合は、米・英・スペインによるイラク武力行使策動が、まともな理由さえ挙げられないまったく不当なものであることを改めて明らかにした。

世界中の民衆がともに反戦行動(3月8日・東京)
写真:「NO WAR」のパネルを持ち笑顔の外国人女性と日本人女性

 UNMOVIC(国連監視検証査察委員会)ブリクス委員長は、生物化学兵器は見つかっておらず、ミサイルの廃棄が進んでいることを報告。「(イラクは)特に一月末から積極性が出てきた。「即時」にとはいえないが、歓迎すべきことだ」と変化を強調した。そして「査察には時間がかかるが、何年もかかるものではなく、数週間で終わるものでもない。数か月だ」と査察継続を要請した。

 IAEA(国際原子力機関)エルバラダイ事務局長は、イラクとニジェールとの間でウラン取引が行われたという米国の主張について「詳しく分析した結果、信頼のおけるものではない。根拠のないものだ」と一蹴。核開発を再開した証拠はないと断言した。

 報告を受けた各国の発言で米・英など武力行使派は決定的な論拠を提示できず、何年も前のイラクの行動を槍玉に挙げることしかできなかった。

 仏・露・中など査察継続を明言していた五か国は、武力行使に断固として反対した。中国は「この一か月安保理の議場の外でも、平和を求める多くの声を聞いた。安保理の力はすべての国連加盟国に由来しており、すべての国の国民の力に由来している。その強い求めを無視するわけにはいかない」と述べた。

 他の国々も「国連憲章と国際法に基づく平和的解決」を主張し、武力行使支持は十五か国のうち四か国のみだ。

 世界の反戦世論が安保理の中さえ揺るがしているのだ。

許されない武力行使

 米・英とともに武力行使への新決議案を提出したスペインは「三十万人の兵力があるから(イラクはミサイルを)廃棄した」と軍事的圧力の成果を強調し、「武力行使しかない」と結論づけている。

 しかし、国連憲章はその原則として「武力による威嚇または武力の行使を慎まなければならない」と加盟国に義務付けており、武力威嚇である米軍の展開は明らかに憲章違反だ。

 米・英・スペインが提案した修正案は、「すべての情報をUNMOVICやIAEAに渡していると安保理が結論付けない限り、イラクが決議一四四一で与えられた最後の機会を逃したと決定する」とし、安保理が自動的に武力行使を容認する内容となっている。

 だが国連憲章の条文に照らしても、安保理が武力行使を決定できる状況ではない。

 安保理が「平和の回復のための措置」をとれるのは、「平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為」が存在するときのみである。イラクは現在平和の破壊も侵略行為もしていない。残るのは平和に対する脅威だけだ。だから戦争を仕掛けようとしている米英は「イラクの脅威」を言い立てているのだが、「核開発と大量破壊兵器保持の疑い」だけでは、脅威にはなりえない。

 かりに、「脅威」となる事態があった時も、安保理はまず非軍事的措置での方法を決定しその実施を加盟国に要請でき、それでも不十分な場合のみ軍事的措置をとることができるとされている。

 現に査察が実施されており、イラクが脅威であるとする証拠もなく、ミサイル廃棄さえ実行している以上、非軍事的措置は進行中であり、軍事的措置に移行する理由がない。

 米国は武力行使の目的をフセイン政権の転覆だと公言してきた。国家主権も民族自決権も否定する乱暴な破壊行為である政権転覆など許されるはずはない。

 新決議修正案そのものが国際法違反であり、国連憲章をも踏みにじるものだ。

ミサイルは撃たせない

 核兵器と大量破壊兵器を公然と保有・使用し「唯一の超大国」として勝手気ままに振る舞う米国こそが、今や「平和に対する脅威」だ。世界の民衆がそうとらえていることは各種世論調査が示している。

 ミサイルを撃ち込みイラクの民衆・子どもたちを殺戮する行為を「平和のため」と言いくるめるブッシュの戦争は、国連憲章・国際法・人道に反し、一片の正当性もない。

ホームページに戻る
Copyright FLAG of UNITY