米英軍の違法なイラク攻撃で女性や子どもが被害を受けている。第五次調査団が聞き取りをしたアフガン攻撃の被害者もほとんどが女性や子どもだった。その中で、明らかに子どもに照準を合わせたクラスター爆弾の犯罪性が明確になった。(K)
アメナちゃんの屋敷跡に立つ「グローバル・エクスチェンジ」調査員のアミンさん
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今回の調査地域がアフガン北部のクンドゥズに決まったとき、ぜひとも会いたい子どもがいた。九歳の少女アメナちゃんだ。
昨年十二月に開かれたアフガン国際戦犯民衆法廷の第一回東京公聴会で、アジアプレスの綿井健陽さんが報告した映像レポートで最も印象に残った被害者の一人がアメナちゃんだった。
親戚を含めて十八人の家族のうち、母親、祖母、七人の兄弟姉妹、叔父など十六人が米軍の空爆で殺害された。生き残ったのは父親とアメナちゃんだけ。決して笑顔を見せず「かつてこれほど険しい目をした女の子の顔を見たことはありません」と綿井さんが紹介したのがアメナちゃんだ。
15軒の村に12発の爆弾
クラスター爆弾後を背にするマハラマさんの子どもたち
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三月二日、調査団はクンドゥズ州のアーハムガラン村のアメナちゃんの屋敷跡に立った。しかし、アメナちゃんはいなかった。現在、アフガンで最も北東のバダクシャン州の叔父さんの家に引き取られたという。
主のいない破壊されたままの屋敷跡にはうっすらと雪が積もっていた。ここで十六人が一度に殺害されたとはとても信じられないほど、狭い屋敷跡だった。家族がそろう朝食時を狙った爆撃の威力をまざまざと感じた。
アーハムガラン村は十五軒ばかりのほんとうに小さな村だ。ここに米軍は合計十二発の爆弾を落とし、そのうちの四発がアメナちゃんの家を直撃した。村での死亡者は十八人、そのうち十六人がアメナちゃんの家族だ。
村での他の被害者マハラマさんの家を訪問した。玄関の扉から壁の至るところに小さな被弾跡が生々しく残っている。調査団が初めて出会うクラスター爆弾による被害者だ。
本人も手足をけがし松葉杖姿のマハラマさん(35歳)は「この村には普通の市民しかいなかったのに、なぜ爆撃されたのか理由が分からない」と語る。クラスター爆弾は夫と第一夫人の命を奪った。
翌日の三日、クラスター爆弾による典型的な被害を受けた二人の子どもと会った。十歳の少年アブドル・ラシードくんと十一歳の少女シーミーンちゃんだ。
「救援物資と思った」
ラマダン(断食月)の一日前に、シーミーンちゃんが路上で黄色の物体を見つけた。拾い上げたところ、ラシードくんの顔の前で爆発した。シーミーンちゃんは左手を大けが、そしてラシードくんは両目が見えなくなった。
両目を失明したラシードくんとシーミーンちゃん
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シーミーンちゃんが語る。「事件の二日前にも黄色の物体を拾った。そこには救援物資が入っていた。次の日は村に爆撃があったので家から出なかった。そして、翌日に外に出たところ、また黄色の物体が見つかった。物資だと思いさわったところ爆発した」。
カブールに戻った調査団は二つの地雷処理NGOの事務所を訪れた。展示物に土色や緑色の各種の地雷が並ぶ中で、クラスター爆弾の子爆弾の黄色が明らかに目立つ。「なぜ黄色に塗ってあるのか」と質問したが、どちらの担当者も「理由は分からない」の返事だった。
黄色が目立つクラスターの子爆弾。左端がGPS
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しかし、はっきりと分かったのは、クラスター爆弾にもGPS(衛星利用測位システム)が装着されていることだ。コンピュータによる精密誘導兵器なのだ。
前日に救援物資を投下した地点に次の日は正確にクラスター爆弾を落とす。そして、子どもがさわりたくなる黄色の子爆弾を地雷として残す。
クラスター爆弾は子どもを標的にした戦争犯罪兵器だ。(続く)
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