2003年04月11日発行783号 ロゴ:なんでも診察室

【MMRワクチン訴訟】

 予防注射の時間、診察室に入ってくる子に、ニコニコしている子がいる一方で、ギャーと泣く子がいます。どちらも思わずほほえんでしまいますが、ギャーと泣く子の多くは、過去に予防注射など診察室で痛い体験をしています。六か月くらいの赤ちゃんでもその痛みを覚えているようです。最近の私は、こんなことからも、イラクで米英軍に爆撃されている子どもたちの身体と精神がどれほど傷つけられているかに思いをめぐらせてしまいます。

 気を取り直して、ワクチンを注射するのですが、このワクチンに関連して、企業利益のために被害を受けた子どもたちが多数います。三月十三日には、ワクチン製造企業「阪大微研」に対し、MMRというワクチンの被害者二人に一億五千五百万円を支払うように命じた判決が出ました。

 MMRは、麻疹・おたふく・風疹の「新三種」ワクチンと言われたものです。この中のおたふくかぜワクチンが大変劣悪で、重篤な後遺症も残したのです。どれだけ悪いかというと、世界でもっともよく使われているジェリル・リン株というおたふくかぜワクチンでは約二百五十万人に一人しか起こらない髄膜炎が、日本製では約四百人に一人も引きおこされたのです。

 当初、厚生省(当時)は髄膜炎の多発を無視し、その頻度を実態よりはるかに低く発表し、接種を続けたため被害を拡大しました。今回の判決で、その対応に過失責任がある、と批判されています。

 どうして、このようなワクチンが使われたのかというと、外国企業がライセンスをもつジェリル・リン株では、日本企業に大きな利益にならなかったからです。その企業の中の一つ、「阪大微研」は、人体実験で生物化学兵器を開発していた悪名高い「七三一部隊」の中心メンバーが作った会社です。ワクチン企業の利益のためならば子どもの健康など軽いものというのが、厚生労働省の態度でした。驚くことに、これは過去のことでなく、いまだにおたふくかぜワクチンは、従来の危険な日本製を使っているのです。

 この裁判の後、阪大微研は賠償金を支払う協定書を締結しましたが、国は責任を認めず控訴しました。しかし、原告三家族と支援の方々による、非常に粘り強い闘いで、ワクチン行政が企業の方ばかり向いておれない状況が一定作られました。

 企業利益のために子どもを傷つけるな、石油のためにアフガニスタン・イラク・パレスチナの子どもを傷つけるな、と叫びたい毎日です。

 

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