2003年04月11日発行783号

【イラク滞在「人間の盾」の神崎雅明さんのメール 空爆の怖さを想像して下さい これ以上の犠牲者を出さないためにも】

 三月下旬まで「人間の盾」としてイラク現地に滞在した神崎雅明さん(現在はヨルダン・アンマン)が国際市民調査団に送ったメールを、本人の了解を得て転載します。


神崎雅明さん
写真:顔写真

 日本ではイラク戦争が、どのような形で報道されていますか? 隣国ヨルダンの報道では、写真入りで掲載されていて現地の状況がはっきりと伝わってきます。「壊れた子どもの前で泣きじゃくる母親」「空爆の跡地で呆然とするおじさん」「子どもの無残な遺体」などなど…。

 日本の新聞でどのような報道がされているかわかりません。しかし、新聞の活字を読んだだけで「戦争」を知った気にならないで下さい。

 「空爆で市民十五人が死亡」「連日の空爆に脅える市民」「米英二人死亡」―これらの新聞記事が現地では、どんな状況なのか想像してみて下さい。それがどんなに悲惨で、どんなにむごたらしくて、どんなに怖いことか、どんだけ悲しいことか想像して下さい。ただ、TVを観るだけではなく、その映像を共感して下さい。これは映画ではなく実際に起こっていることです。

 「今回の戦争は仕方のないことだ」と思っている方に聞きたいです。

 自分の周りに空爆をされたらどう感じますか? 空爆の威力は二〜三キロ離れていても、物すごい爆発音と振動、爆風があると聞きます。それを連日夜中にされたらどう感じますか? しかも米英空軍機が自分の頭上を通過するたび、もしかしたら自分の所に爆弾が落とされるかもしれない恐怖があります。それでも、あなたは平静を装っていられるんですか? それでも、「戦争は仕方のないことだ」と言えるんですか?

 いきなり自分の家に人が入ってきて、銃を乱射され、娘、息子、両親が殺されても「今回の戦争は仕方のないことだ」と言えるんですか? 「戦争に多少の犠牲は付き物だ!」と言えるんですか? 「今回の戦争は湾岸戦争に比べ犠牲が少ない方だ!」と言えるんですか?

 そうやって人が一人死んでいくことを想像してみて下さい。

 誤爆ってなんですか?

 それってアメリカ側の言葉じゃないですか? アメリカは、本来狙うべきはずの場所に爆弾が落とされず、違う場所に爆弾を落としてしまったから「誤爆」と言っています。でも、爆弾を落とされた側から見たら「誤爆」ってなんなんですか? 爆弾を落とされた側から見たら、誤爆もなにもないんです。爆弾を落とされたことには変わらないんです。そして多くの市民が犠牲になっています。それを「今回の精密誘導弾の命中率は、湾岸戦争よりもはるかに上がっている」「市民への犠牲は、前回よりも少ないはずだ」「誤爆は極力避けます」と言われて、あなたはそれでも「誤爆はしょうがない」と言えるんですか?

 現地の子どもは連日連日の空爆の恐ろしさに、トラウマになっています。ちょっとした音に過敏になったり、戦闘機の音が聞こえるたび泣き出す子どももいます。

 もっと想像して下さい。自分があの大規模空爆の中にいることを想像して下さい。自分の子どもがあの大規模空爆の中にいることを想像して下さい。自分があの現場にいることを想像して下さい。

 一刻も早く戦争を止めるための声を上げましょう。一人一人の意思表示が大きな力になります。これ以上、犠牲者を出さないためにも…。

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