2003年08月15日発行801号

【闘争団は今 音威子府闘争団 この17年は無駄にできない】

全交に参加した杉山さん夫妻
写真:顔写真

 「百人まであと少しです」。闘争団員の声がロビーに響き渡る。二〇〇三全交での「鉄建公団訴訟原告団・家族を守る会」加入の呼びかけだ。家族、支援者も加わった熱い訴えの結果、百八人が加入した。北海道・音威子府闘争団からは杉山均さんと智子さん夫妻が参加した。


 闘争団員四十四人と家族が組織的自活体制を続ける音威子府闘争団。生活援助金のカットやアルバ(国労事業体)物販からの締め出しによる事業収入減などで月二百万円の減収となり、生活は厳しさを増している。

 団事務局長の杉山さんは「景気が低迷し、アルバイトを増やすのは困難。事業を拡大して生活費と闘争費を作り出していきたい。三年間の試行期間を踏まえて、本格的な味噌の事業化を進める。六月、『音威子府みそを育(はぐく)む会』を立ち上げた」と語る。味噌は一キロ六百円。年間九十キロを契約する会員を募り、二か月に一回発送する。

 「音威子府みそ」は、北海道産の大豆と米こうじ、食塩が原材料。安全と品質にこだわり、添加物を一切使用しない。熟成に一〜二年かかるので計画的な事業展開が必要だ。自治体の協力を得ながら自前の工場建設に着手するという。杉山さんは「注文の状況を見ながら今年は十トン、来年は二十トン、再来年は三十トンと生産を拡大していきたい。そうすれば、三〜四人の闘争団員が常駐できる」と味噌事業に期待をかける。

もう一歩前に

 秋から個別立証という鉄建公団訴訟については「裁判に闘いが追いついていない。当事者である闘争団員の自覚が足りない」と厳しい反省の言葉。「全体会や学習会を進め、解雇時の扱われざまを一人一人が怒りを込めて思い起こし、原告アンケートの全員提出をめざしている。同時に、国鉄闘争の風化が言われる中で、最高裁署名も一軒一軒オルグに入り、地域から闘いの掘り起こしを進めている」

 智子さんは「その時々で大変な十七年間だった。でも、主婦の私がいろんな人と出会え、様々な世の中の出来事を学ぶことができた。本当にありがたい」と振り返る。二人の息子は今年二十歳と十七歳。長男は高校卒業後、就職した。「中学の時から部活の費用は新聞配達でまかない、常に親に心配をかけないでおこうと気遣ってくれる。私が落ち込んでいると、敏感に感じて励ましてくれる」と二人の子どもの成長を喜ぶ。六月に自ら手を上げて東京のオルグ活動に参加した智子さんは「ここまで十七年来て、もっと前に出なきゃ勝てない。普通の生活を取り戻すために、もう一歩前に出ようと思う」と決意を語る。

 全交の閉会集会で訴えた智子さん。「長男は『これ以上、親に心配はかけられない』と就職した。大きく成長し自立した子どもを見て、この十七年は無駄にできないの思いでいっぱいです」。会場から惜しみない拍手が送られた。

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