2003年10月31日発行811号

【「工場を壊してほしくない」 ユアサ高槻工場閉鎖・移転に反対しウォーク 800人が市役所前に】

 大阪・高槻工場の閉鎖・移転を突如公表したバッテリーメーカーのユアサ。会社と労働組合が協議中の問題であるにもかかわらず、今度は高槻市当局が工場跡地を都市再生緊急整備地域に指定するように国への働きかけを開始した。移転を既成事実化する市の動きに対し、十月十七日、ユアサで働く人々や市民八百人が移転阻止を掲げて抗議行動に取り組んだ。

 九月に結成された「ユアサ高槻工場閉鎖に反対する市民の会」。二度の市民集会をふまえ、十月十七日に「『ストップ・ザ・工場閉鎖』ユアサ連絡会」と共同で高槻市役所への抗議行動と市中ウォークに取り組んだ。

市民とともにウォーク(10月17日・大阪府高槻市)
ユアサ高槻工場閉鎖 / 移転に反対して800人がウォーク

 集会は市役所前。閉庁直後の市役所玄関から出てくる人々も、ただならぬ雰囲気に足を止める。「ユアサ工場閉鎖反対」「やめろ跡地開発」「ストップザ工場閉鎖」などのプラカードやのぼり旗が林立する。幼い子どもを乗せ乳母車を押す母親の姿も。ユアサ高槻工場で働く人々と市民など総勢約八百人が集会に駆けつけた。

街なかを行進

 トップバッターとして発言に立ったのは市民の会・世話人の伍賀偕子さん。「私たちはユアサに働く人々と日常的なつながりの中で大切なきずなをつくってきた。家族を含めて三千人近い人たちの生活がかかった問題であり、苦々しく思っている市民も多い。跡地開発をめぐっては、住民不在のゼネコン型開発であり、これ以上いらないという批判の声が強い。私たちはこの問題に重大な関心を持っている」と参加者を励ました。闘う九州闘争団の蓑田浩司さんは「分割民営化で十万人を超える合理化がおこなわれ、反対した私たちは解雇された。リストラ・工場閉鎖に対し私たちも一緒に闘う」とアピールした。

 その後、参加者全員で市庁舎に向かってシュプレヒコール。「高槻工場の閉鎖」「やめろ、やめろ、やめろ」「工場閉鎖の既成事実化」「やめろ、やめろ、やめろ」「住民不在の市街地開発」「やめろ、やめろ、やめろ」などのコールをぶつけ、行動は盛り上がる。その雰囲気を引き継いで、ただちにウォークに出発。市民の会の参加者を先頭にのぼり旗やプラカードを高く掲げコールを繰り返しながら、勤め帰りでにぎわう街なかを行進した。

子どもたちの姿も

 参加した市民の年齢も幅が広い。中には子どもたちの姿も。「工場を壊してほしくない」と言うのは小学生の女の子。彼女が参加するグループは、在日外国人生徒との相互理解をすすめる事業の縮小を打ち出した高槻市教委に抗議行動を続けていた。そのときユアサの組合員と知り合い、いっしょに高槻市に抗議しようとかけつけた。

 組合が主催する地域まつりやピースフェスティバルで信頼関係を深めていった人たちも抗議行動に集まっている。市民運動に関わる黒瀬勉さんもその一人。「高槻市長はスローガンに「市民協働」と掲げていた。大型再開発にもかかわらず、住民不在で一切の説明抜きに進めている」と市当局の姿勢に怒りを示す。

 次は街づくりのシンポジウムやピースフェスティバルなどで、市民への呼びかけを強める。

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