2003年11月14日発行813号

アフガン民衆法廷12月最終公判へ 「ブッシュ有罪」へ第8次調査(1)

【地雷処理NGOを爆撃 攻撃開始二日目に民間人4人殺害】

 ブッシュのアフガニスタン攻撃を国際法で裁く「アフガン国際戦犯民衆法廷(ICTA)」は十二月十三、十四日に最終公判を開く。それに向けて十月中旬にはアフガン戦争被害の第八次調査を実施した。首都カブールを中心にした調査は「ブッシュ有罪判決」をかちとるための証言・証拠を手にした。(勝井)


 八次に及ぶ調査で、首都カブールにおける主要な民間人攻撃・民間施設攻撃の現場を訪れ、被害者証言をえることができた。

 圧倒的な軍事力を背景に一方的な殺りくである空爆を繰り返した米軍の攻撃の特徴と被害の実態をまとめた。

 二〇〇一年十月七日現地時間午後九時(日本時間八日午前一時半)、米軍はアフガンへの攻撃を開始した。常とう手段の夜間の空爆だった。

 攻撃開始からわずか一日たった八日午後九時十分、米軍の空爆は、国連の地雷撤去に携わるNGO事務所を破壊、アフガン人職員四人を殺害、二人が重傷を負った。

補償も謝罪もしない

 爆撃から二年が経過した今年十月、被害の傷跡はいまだに生々しく残っていた。

爆撃から2年を経ても生々しい破壊のあとを残すATC事務所(10月20日・カブール)
写真:一部の柱と庇を残して崩れ落ちた鉄筋コンクリート作りの二階建ての建物

 このNGOは「アフガン・テクニカル・コンサルタンツ(ATC)」で、一九八九年にアフガン人が設立し、内戦時代に仕掛けられた国内の地雷除去作業をアフガン人の手で行うNGOだ。

 破壊された事務所は、パキスタンから首都カブールを経てイランにまで至る幹線道路に面している。まわりに建物はなく独立した事務所だ。

 爆撃は合計十二部屋あった二階建て事務所を直撃、四部屋が破壊された。

 当時の現場責任者ミル・モード・シャカールファゼルさんは一階の部屋にいた。

 「前日からアメリカの空爆が始まったので、地雷処理作業はしていなかった。しかし、機材があるので、逃げることもできず、二十人位が夜間の警備をしていた。私は十分前まで壊された部屋にいて移動したばかりだった。九時十分に爆撃を受け、私は責任者として職員全員の点呼をしたが、四人が見当たらなかった。翌朝になって捜し出したが、四人の遺体は誰が誰だかわからないほどひどい状態だった。パキスタンから一時間前に帰国したばかりのアブドル・サボールは、ポケットにあった一ドル札で本人と特定した」

 ミル・モードさんが語る惨状も生々しいものだった。

 米軍は、破壊した事務所や機材の損害や四人の遺族への補償はおろか、謝罪の表明すらしていない。

二重の戦争犯罪

 空爆開始当初の米軍の攻撃の特徴は、アラビア海に配備した空母や艦載機からの巡航ミサイル「トマホーク」や精密誘導兵器による夜間・早朝の空爆がほとんどだ。あらかじめ入力した「軍事拠点が目標」と米軍は主張するが、目標物が軍事施設に間違いないかどうかを把握するには、人による調査が欠かせない。

 ATC事務所のまわりに建物はないが、壊れたアンテナがある。旧社会主義政権時代の通信施設で、当時も現在も使われていない。

 現在の現地責任者のオバイドラーさんは、「ナジブラ政権時代の通信施設をロシア軍が航空写真で撮影したものを、米軍が目標に使ったのではないかと思う」と、過去のデータをもとに攻撃目標を設定した可能性をほのめかした。

 ICTA規程は「民用物、すなわち軍事目標でない目的物に対して意図して攻撃を加えること」を戦争犯罪と規定している。

 ATCは国連関係施設である。しかも、アフガン人の手で内戦時代の戦争犯罪である地雷を撤去していた施設である。そのATCを爆撃した米軍の行為は二重の戦争犯罪だ。

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