2003年12月26日発行819号

【アフガン民衆法廷 ブッシュ有罪の判決 画期的な「侵略の罪」での有罪 「テロとの闘い」を許さない論理を世界に発信】

 「被告人ジョージ・ブッシュは有罪」―アフガニスタン国際戦犯民衆法廷で新倉修裁判長が主文を読み上げた瞬間、傍聴席から大きな拍手が沸き起こった。12月13・14日、東京九段会館で開かれた第2回・第3回公判には延べ1700名が参加。2年をかけ、16回の国内外での公聴会、8回の現地調査などに取り組んできた民衆法廷運動が結実する判決が下された。

 主文は、侵略の罪、戦争犯罪、人道に対する罪でブッシュを有罪とした。検事団(土屋公献団長・元日本弁護士連合会会長)が100を越える証拠書類を裏づけに提出した起訴内容がほぼ受け入れられた。

 とりわけ、侵略の罪で有罪判決が下されたのは画期的なことだ。今もイラク戦争から占領を続けるアメリカの大統領を侵略の罪で裁いたことは、今後地球上から戦争を葬り去っていく大きな一歩となる。

厳正に行われた公判

「被告人ジョージ・ブッシュは有罪」の判決を下した新倉修判事団長
写真:壇上向かって右に判事団が並び左に検事団が並ぶ。中央スクリーンに判決を読み上げる二位管団長が映し出されている。

 公判は厳正に行われた。法廷助言者となるアミカス・キュリエ(代表・大久保賢一弁護士)は、侵略の罪の適用を避けるアメリカ政府の論点を整理し、「9・11事件は新しい戦争であり、それ以前の国際法では裁くことできない」と正戦論を主張。活発な反論と論告が展開された。検事側は、テロ情報が事前にキャッチされていたことなど挙げ、「9・11テロを防がなかったのは、戦争の口実をつくりたかったからだ。アフガン攻撃に正戦論は通用しない」(土屋団長)と批判。米国の武力行使が「自衛権行使」にあたらないこと、国連安保理決議も武力行使を容認していないことを明らかにし、侵略の罪に該当すると主張した。

 侵略の罪にかかわって証言に立ったIAC(国際行動センター)のグロリア・ラリヴァさんは「アフガンを反ソ連の地理的な拠点、天然ガスの輸送経路としてアメリカ政府はタリバンにも資金提供していた。しかしタリバンはかいらい政権にならなかった」など、9・11以前からの中東での石油戦略と利権が背景にあったことを指摘。

厳正に行われた公判を二日にわたって傍聴した参加者
写真:資料に目を通しあるいは舞台を中止する会場を埋め尽くした参加者

 また、アフガニスタン女性革命協会(RAWA)のサハル・サバさんも「テロに対する闘いと言うなら、北部同盟によるテロへの支援も止めてほしい。アフガニスタンは、良くなるどころか1992年以前の事態に戻りつつある」と、アフガンに荒廃をもたらした不当な侵略を告発した。

 2日間の公判では、戦争犯罪がもう一つの大きな焦点となった。アフガニスタンからは娘夫婦を空爆で亡くした母親が無差別空爆を、パキスタンからは弁護士が文民である被抑留者に対する罪を訴えた。大量に使用された劣化ウラン弾の人体・環境に及ぼす危険性についても追起訴され、その使用は無差別殺戮兵器として国際人道法違反にあたると主張した。

判決に実効性を

 また、判決に実効性を持たせる観点から、検事側は、「紛争の平和的解決の原則」「劣化ウラン弾などの非人道兵器の禁止・廃絶」「戦争被害者への補償・賠償」を実現するための三つの勧告案を提起した。新倉裁判長は「基本的な点について意見の相違はない。もっと実効性のあるものにしたい」と表明。判決理由と勧告文については、3月13日に開く公判で言い渡されることになった。

 閉廷後も会場は”ブッシュ有罪”に沸く。舞台には、RAWAのサハル・サバさんや伊藤成彦中央大学名誉教授、山内徳信元沖縄読谷村長、前田朗東京造形大学教授ら共同代表と法廷を構成した判事団や検事団が登壇。前田共同代表は「2年間、先が見えない中少しずつ歩んできて、ついにブッシュ有罪をみんなの手で勝ちとった。とりわけアフガン人民を代表するRAWAの支援で調査や立証が可能となった。民衆法廷運動で出会った多くの人々にも感謝したい」と締めくくった。

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