ロゴ:劣化ウランの毒性を告発する 2004年02月20日発行827号

第2回『湾岸戦争症候群にウラン関与』

 米政府の態度は、劣化ウラン弾が有毒であるとする明確な証拠はない、だから安全である、というもの。それでは、ホワイトハウスのおえら方に劣化ウラン粒子を吸入していただき安全性を示してください、と言いたくなります。しかし、そんなことをしなくても有害性を示す数々の証拠があります。

 1991年の湾岸戦争の期間に、直接の戦闘で死亡した米兵士は147人だけです。パパ・ブッシュは、戦争に勝ったとたいへん喜んだのですが、凱旋?した兵士を待っていたのは神経・精神・筋肉など全身をむしばむつらい病気でした。5万7939人が死亡したベトナム戦争で、復員した兵のうち、その後にサービスを受けている障害者は9・6%。朝鮮戦争では5%、第二次世界大戦は8・6%でした。しかし、この湾岸戦争復員兵の障害者はなんと16%、11万人にのぼります。

 これらの症状は湾岸戦争症候群と言われます。その原因についての研究が多数されていますが、ごく小さい砂によるという有名な報告がありました。これは、バルカン戦争復員兵にも同じ症状が出ましたので嘘がばれました。また、オイルの煙だ、殺虫剤だ、いやワクチンだなどとする論文が出ています。最も毒性が危惧されていた劣化ウランに焦点を当てた大規模調査は発表されていません。

尿からウラン検出

劣化ウランの危険を語る筆者(左)
劣化ウランの危険を語る筆者(左)

 しかし、私たちが世界の論文を調べたところ、この関連を調べた、いくつかの論文を見つけることができました。ドラコビッチのグループは湾岸戦争症候群27人のうち、14人の尿から高濃度の劣化ウランを検出し、劣化ウランの関与を証明しています。また、アフガニスタンの8地域8人の湾岸戦争症候群患者を調べたところ、全員の尿から劣化ウランに準ずる高濃度のウラニウムを検出しています。

 ドイツのシュレーダーらは湾岸とバルカン戦争に参加して湾岸戦争症候群様の症状を持つ復員兵16人の染色体を調べ、放射線被曝で出現する「二動原」と「中心リング」染色体が5・2倍に増加していることを報告しています。ウルノビッツらも、湾岸戦争症候群患者から染色体異常を発見し劣化ウランとの関連を示唆しています。

 さらに多くの間接的な証拠があり、劣化ウランは湾岸戦争症候群の原因の少なくとも一部を占め、その有害性は間違いないのです。2001年に欧州議会が出した報告書では、専門雑誌に報告がないから有害性の証拠がないとしていますが、今ではそれは言えないことです。

 ともかく、湾岸戦争帰還兵を待ち受けていたのは本人だけの問題ではありませんでした。それは次回報告します。

 医療問題研究会 林 敬次

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