イラク反戦を題材にしたコンサートが取り組まれている。演じているのは市民劇団「月桃の花」歌舞団。昨年秋の海勢頭豊&歌舞団コンサートで演じたオペレッタ(軽歌劇)『爆弾男のマブイ込め、イラクから希望の歌が聞こえる』をリメイクし、2月8日と15日、歌舞団独自でコンサートを開いた。観客と一体となった公演をめざし、全国各地への出前公演の第一歩だ。
2月15日に東京・世田谷の区民会館で開かれたコンサートには、約130人の観客が集まった。エンディングは出演者全員の『きぼうのうた』。合唱が終わっても拍手が続き、帰り支度をする人はいない。アンコールに応えて、海勢頭さんが作詞・作曲した『琉球讃歌』と『月桃』が歌われた。
ストーリーはこうだ。マブイ(魂)を失って爆弾になってしまった若者とその恋人が、マブイを探して爆弾が飛び交う戦火のイラクにたどり着く。そこでイラクの人々の温かさや生きざまにふれ、呪縛が解けてマブイを取り戻す。
とてもよかった
観客の反応はすこぶる良い。初めて観たという22歳の男性は「言いたいことがストレートに伝わってきて感動した。イラク・アフガン─9・11から世界が大きく崩れようとしており、(日本政府が)追随するだけに、日本国民として無力感を感じている。今回の公演は国民一人一人の気持ちを代弁していると思う」と感想を寄せた。「全体に手作り感にあふれ、温かく、とてもよかった」(21歳女性)「平和への思いをこういう形で表現できる、素晴らしい」(49歳男性)「皆さんの情熱が伝わった」(36歳女性)など共感の声が広がっている。
場面の節目で歌われる歌舞団の創作曲は観客の心をとらえた。『ふるさとへ』は、侵略軍としてイラク人民から忌み嫌われる米兵に対し、「帰ってお行きよ、今すぐに、あなたが生み出す、ふるさとへ」とイラクのお母さんたちが諭す歌だ。『きぼうのうた』は、「はじめよう、歩き出したらそこから未来だよ」と世界的な反戦スーパーパワーの力を表現する。
出席者全員で合唱
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思いを共有化
これらの歌は、歌舞団のメンバーがイラク情勢や劣化ウラン弾の学習、街頭行動参加に取り組む中から生まれた。『きぼうのうた』を作曲した室生祥さんは「ピースウォークなどイラク反戦行動に参加した充実感を歌にしようとの思いがみんなから出され、歌は出来た。イラクの人々とどうつながっていくのか、討議と練習の中ではっきりしてきて歌詞が完成した」と振り返る。行動の感想や光景を互いに言葉にしながら、思いを共有化してきたという。
歌舞団メンバーは全員が素人。終わって「やればやるほど手応えがあった」「仲間と舞台を作り上げたのはうれしかった」「次の公演目標を作っていこう」など今後に意欲的だ。歌舞団は出前公演に全国のどんな地域にもかけつけていく。
*当面の公演予定
・3月21日 大阪市西淀川区民ホール
・4月18日 名古屋市生協文化会館
・4月25日 藤沢市労働会館
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