2004年03月19日発行831号

【証言 鷲見一夫さん (新潟大学教授) 日本企業が受注するODA 腐敗の種をイラクにまく】

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 日本政府は2007年までの4年間に、無償資金協力15億ドル、円借款35億ドル、総額50億ドル(約5500億円)の支援を表明した。アメリカと日本だけで、拠出金総額の4分の3を占めることになる。

 無償資金の管理は「イラク復興信託基金」が行い、産業基盤整備関連は世銀で、生活基盤整備関連はUNDP(国連開発計画)によって管理される。しかし、世銀はイラクへの融資の経験が乏しく、UNDPは国連職員の引き上げで現地に活動基盤がない。どのようにプロジェクト実施に必要な基礎調査を行うというのか。腐敗の種をばらまくようなものだ。

 ODAは相手国の要請で供与される建前になっていたが、現在のイラクにはアメリカのかいらい組織であるイラク統治評議会しかない。イラク国民を代表した要請はない。無償援助の場合、日本企業しか受注できないので、結局、イラクの人々の災難にかこつけて日本企業が利益を得ることになる。

 円借款35億ドルは、返済義務を伴う。これまででも70億ドルに上るイラクの対日債務はさらに膨らみ、借金漬けだ。日本政府は、返済の担保として石油を当て込んでいるのか。一方、債権放棄すれば、その穴埋めは日本の国民の税金が充てられることになる。

 

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