2004年04月09日発行834号

【劣化ウランの毒性を告発する(9) 放射線障害もたらす劣化ウラン】

 「劣化ウランは、潜在的に有毒である。劣化ウランを飲み込んだり、吸い込んだりした場合、量が多ければ、化学的毒性の故に有害である」というIAEA(国際原子力機関)の文書を、在日米国大使館はホームぺージに載せています。なんだ、毒性を認めているのだ、と思うのは間違いです。

 その文章の前に、「劣化ウランが健康を害する主要原因は化学的毒性ではなく放射能である、という誤解が多く見られる」などと書いているからです。これだけ多くの健康障害が指摘されているので、水俣病の水銀や、イタイイタイ病のカドニウムなど重金属の毒性と同じ程度の毒性は認めざるを得なかったのでしょう。彼らにとって何とか守りたい一線は何かが見えてくる文章です。その一線とは、劣化ウランは放射線障害をもたらさないということです。劣化ウランの放射線障害を認めたら、ひいては今まで必死で否定してきた原発や核処理施設の放射能汚染による障害を認めることにもなるからです。

 もちろん、科学的な立場は、重金属としての毒性を否定するものでは決してありません。とくに、神経系統を犯すのは重金属の特徴です。たとえば、Pellmarらは、ラットへ劣化ウランを埋め込んだところ、脳の海馬という場所で電気生理学的異常が出ることを証明しています。人間の観察では、湾岸戦争症候群の中心的症状が神経症状であることからも、重金属による毒性である神経毒の特徴を持っているともいえます。

米軍の研究者が証明

 問題は、それに加えて放射線障害をも併せ持つかどうかです。アメリカ軍放射線研究所のミラー等が、人の「骨芽細胞」を使った一連の研究で、劣化ウランの遺伝子障害や腫瘍を作る毒性は放射線によるものであることを証明しています。例えば、放射線を出さないが腫瘍を作ることで知られている重金属のニッケルやタングステンと比較し、劣化ウランが明らかに「二動原体染色体」という染色体異常を多く生じさせることと、同じウラニウムでも放射線が強いほど腫瘍を作る力が強いことを示すことにより、劣化ウランによる主な障害性は放射線によるものであるとしています。また、Hahn FFらは、腫瘍を作る放射線物質であるトロトラストと劣化ウラン、それに劣化ウランと同じくらい硬く重い重金属のタングステンをネズミに埋め込んだところ、放射線を出す劣化ウランとトロトラストに肉腫形成が多く、重金属の毒性に加え放射線の障害性があることを示しています。

 このような動物実験によって劣化ウランの放射線障害であることが示された「二動原体染色体」などの染色体異常が、湾岸戦争症候群の復員兵にも現われているのです。

 以上より、劣化ウランは重金属としての毒性に加え、放射線障害も持つことは明らかです。それも、自国、米軍の研究者たちが、証明した事実なのです。

 以上で、IAEAの文書をつぎはぎした在日米国大使館のごまかしはだいたい反論できたのではないかと思います。

(医療問題研究会 林 敬次)

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