2004年05月14日発行839号

【暴かれるファルージャ大虐殺 戦争犯罪重ねる占領軍】

 世界に暴かれたイラク国内の刑務所での虐待は、グローバル資本の権益のためには人権を全く顧みない米英占領軍の戦争犯罪の一端をあらわにしたものだ。バグダッド西方のファルージャのみならず南方ナジャフなどでは、民間人大量虐殺が今も続いている。占領に抵抗を続けるイラク民衆のレジスタンス(抵抗運動)との連帯と、自衛隊を含むすべての占領軍撤退実現こそが急務だ。

イラク全土で殺害・虐待

 イラク・アブグレイブ刑務所での拘束者虐待問題がクローズアップされている。しかし、この虐待は占領軍による戦争犯罪の氷山の一角に過ぎない。

 ファルージャでの大虐殺は、占領政策の実態を示している。米軍は4月下旬には、クラスター爆弾投下も含む大規模な無差別爆撃を加えた。そして、同様のことが、ナジャフや他のイラクの街で引き起こされている。

------------------------

無差別に殺す米軍

 4月〜5月はじめにファルージャでは何が行われたのか。一部のメディアを通じてその実相が少しずつ明るみに出つつある。米軍は無差別の空爆と住民の狙撃を平然と行った。

 空爆で5家族31人が殺害された建物は、4メートル四方の天井が完全に抜け落ち、瓦礫が1メートル以上重なって血だらけの毛布が散乱していたという。42人が1部屋に集まっていたところをミサイルが直撃した。また、大通りの両側の民家の屋根に米狙撃兵が陣取り、人が動けば即座に狙撃した。生き残った雑貨店店主は「兄は自宅の前で父の手を引いて車に乗せようとしたとき、胸を打たれて死んだ。見境のない攻撃だった」と証言している。犠牲者が埋葬されたサッカー場には、300を超える墓標が立てられている。場所がなく、一つの墓に何人もが葬られているため、埋葬者は500人以上にのぼる(5 / 7朝日)。

4月以降、占領軍によるイラク人殺害が報道された都市
写真:イラク15都市でイラク人が殺害された。その分布は国土全域に及ぶ
戦闘でのイラク人試写は4月だけで
1361人にのぼる(AP通信集計)

 米海兵隊の狙撃兵から2度銃撃され、ボランティア・スタッフが殺された現地医療チームの責任者は「アメリカ兵は犬畜生だ。彼らは人道援助のスタッフであっても、医者、救急車であっても攻撃し、殺そうとする」と証言している(インター・プレス 訳:山本史郎http://www.freeml.com/ctrl/html/MessageListForm/organizer-news@freeml.com)。

 イラク占領監視センターは、1300人の米海兵隊員がファルージャに動員され、戦車・装甲車・武装ヘリ・戦闘機で攻撃し、犠牲者は4月12日段階で600人以上、負傷者は少なくとも1200人以上であると伝えている。

 犠牲者の全容はまだ判明していない。米軍がベトナム戦争中約500人の村民を虐殺した1968年のソンミ村事件に匹敵するこの戦争犯罪の真相をおおい隠させてはならない。

ナジャフでバグダッドで

 占領軍による無差別殺戮はファルージャだけではない。

 シーア派の聖地・ナジャフでは5月6日、イラク人41人が殺害され、7日には2〜5歳の子ども3人を含む民間人6人と「民兵」12人が殺害された。バグダッド南方のカルバラでも、イラク人8人が殺害され15人が負傷した。英軍も5月9日、ヘリコプターによる攻撃で住宅を破壊し、生後8か月の乳児を含む民間人4人を殺害した。

 そのほか、バクダッド郊外のサドルシティー、バグダッド市内、カルバラ、アマラなどで連日戦闘による殺傷が続けられている。

 米軍のいう「武装勢力が標的」は口実に過ぎない。バグダッド南方のヒッラでは、非暴力の抵抗運動を組織していたシーア派の聖職者2人が、集会中になだれ込んできた15人の米兵によって公衆の面前で頭を撃ち抜かれた(米メディア「デモクラシー・ナウ」 訳・反戦翻訳団http://blog.livedoor.jp/awtbrigade/)。

-------------------------

追及される米軍の犯罪

 これらの殺戮・残虐行為は、イラク全土にレジスタンスが広がる中でより露骨になった。

 攻撃はイラク民衆すべてに対し無差別に行われている。虐待を受けている拘束者たちも、なんら罪状を告げられることもなく、ある日突然に連行・拘束された無実の人々が9割を占める(赤十字国際委員会報告)。

東京での抗議行動(5月13日)
写真:イラクでの虐殺に抗議して東京で抗議行動が行われた

 それは、米英暫定占領当局による占領支配破綻という事態の下で、暴力と虐待で抵抗する意思を削ぎ、かいらい政権樹立後も米・英の支配を維持しようとするものだ。だから、殺戮も虐待も軍によって組織的に行われてきた。

 事件を調査した米陸軍タクバ少将は、報告書の中で「加虐趣味の、あくどい、みだらな犯罪的虐待が計画的に行われてきた」と断言している。また赤十字国際委員会の報告書も、虐待が広範囲に行われ、拷問に近いものもあり、軍が容認した行為であったと指摘している。

 虐待問題については5月上旬、米国の上・下両院で非難決議が可決された。上院決議では「卑劣な行為に関与したすべての人々の責任が問われるべきだ」とされ、虐待方針を承認していたラムズフェルド国防長官への辞任要求が噴出している。国際的な非難も高まり5月11日、欧州では初めてドイツ・フィッシャー外相が「責任をもって対処すべきだ」とパウエル米国務長官に通告した。

 米英軍による侵略・民間人虐殺・民間施設の破壊など数多くの戦争犯罪に、虐待の罪状が新たに加わった。

戦犯に手を貸す自衛隊

 占領支配に対するイラク人のレジスタンスの前に、占領に加わる同盟軍は解体状況におちいっている。すでに14か国、1万人が撤退や戦闘参加拒否など戦線を離脱しはじめた。

 日本の自衛隊宿営地サマワ周辺に展開しているオランダ軍でも5月10日、兵士1人が襲撃により死亡。連日、イラク人との間で戦闘が続いている。国民世論の7割が「軍が攻撃された場合、駐留すべきではない」と答え「現状(治安悪化)が続く限り撤退すべきだ」が6割を占める中で、オランダ政府も駐留継続を決定できないでいる。

 この期に及んで、自衛隊の交代要員を送り込み、サマワに居座り続ける小泉政権の異常さがますます際立っている。これ以上戦争犯罪に手を貸すことは許されない。

 自衛隊を含むすべての占領軍の撤退とイラク人の主権回復、戦争犯罪者の処罰と被害者への補償が行われなければならない。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS