2004年05月14日発行839号

【全国の無防備地域宣言運動を刺激 大阪市の直接請求署名5万筆へ 歴史を刻む一筆の重み】

 大阪市に「非核・無防備平和都市条例」の制定を求める直接請求署名運動はラストスパートに入った。終盤を迎え市民の反応もよく、協力者も続出して法定数(約4万2千人)を突破する勢いだ。同時に、大阪市で始まった運動は、全国各地の無防備地域宣言運動を刺激している。

 5月23日の署名終了日の一週間前の16日、「無防備地域宣言運動全国ネットワーク」に参加する各地の代表が大阪に集結。「無防備地域宣言をめざす大阪市民の会」とともに記者会見を行い、ラストスパート集会にも参加して、大阪市民の取り組みを激励した。

 北海道からは「無防備・非核ネットワーク北海道」の谷百合子さんと上野白湖さんが参加。「大阪の署名運動に非常に驚いている。署名を集める受任者も市民も肩の力が抜け、穏やかに署名が集まっている。署名アレルギーがある札幌で集めるときのたいへんな参考になりました」

 5月14日に準備会を開催した東京都荒川区の「無防備地域宣言をめざす荒川区民の会(準)」の高瀬幸子さんは、5月4日の学習会参加者からの激励メッセージを持参。「大阪の取り組みに元気をもらった。9月に会を正式結成し、12月にも署名を始めていく」と述べた。

 神奈川県藤沢市の「平和都市をつくる会ふじさわ」の高畑宅二さんも、「12月議会に条例案を出せるように、5月28日に準備会を開く。大阪に学んで、直接請求署名をしたい」と決意を語った。

 大阪市に続いて署名運動を8月末にも始めるのは大阪府枚方市。「非核平和・戦争非協力(無防備)都市条例を実現する会」の大田幸世さんは、「大阪から学んだのは、一筆をとるために10人、20人に頭を下げること。大阪が始めた点を線に、そして面にするためにがんばりたい」。

民主主義の基本を問う

 ラストスパート集会には、過去に無防備直接請求運動をした経験者も参加。

 東京都小平市の華山喜三代さんは、「私たち主婦4,5人だけが素朴に取り組んだのは16年前の88年。二度と無防備運動が日の目を見るとは思わなかった。うれしかった。今という時期に行うことの意義が大きい」。

 奈良県天理市の稲垣秀樹さんは、「法律は国民の意思に、条例は住民の意思に基づいているかどうかが大事な点。この運動は平和の問題であるとともに、地域のことは地域の住民で決めるという民主主義の基本を問いただしている運動だ」と指摘した。

 さらに、名古屋地裁に自衛隊イラク派兵違憲訴訟を起こした池住義憲さんも連帯あいさつ。違憲訴訟の原告は、第二次提訴で2363人となっている。「違憲訴訟は北海道、愛知、東京から大阪、山梨などにも広がっている。ぜひ無防備地域宣言運動と連動していきたい。夏には全国集会を開きたい」と訴えた。

日々拡大する協力者

 全国からの激励を受け、大阪市民も奮い立つ。

 直接請求代表者の平安名常徳さん(沖縄読谷郷友会会長)は、「終盤の熱気はすごい。みんなの頑張る姿は美しい。がんばりぬこう」。松浦悟郎さん(カトリック司教)は、「運動が飛び火している。過去の天理や小平の署名も今に生きている。署名の一筆は、一人一人の信念。大阪の署名も必ず生きていく」とアピールした。

 大阪の運動は、日を追うごとに協力者が拡大しているのが特徴だ。

 新しい受任者が発言する。

 「中の島まつりでこの運動を知った。何かできることはないかと思っていたときだった」「近所の人が快く署名をしてくれた。すごくうれしい。元気をもらい、勇気がわく」

 「戦争体験者など一人ひとりの署名は重たい」「これまでに署名をしてくれた人への責任を感じる。必ず5万筆をこえる署名を集めることで応えたい」。必ず成功させる決意が続いた。

 5月18日現在、署名は3万5千人を超えた。23日に締め切られた署名は28日に、大阪市の24区の選挙管理委員会に提出される。

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