2004年07月09日発行845号

【イラク女性自由協会 全交に参加 占領下の抑圧と闘う女性】

 占領下のイラクで行われてきた女性への迫害は、米英占領当局の後押しを受けてきた。それはアブグレイブ刑務所の拷問同様、女性の人権と尊厳を踏みにじる犯罪であり、人類の歴史の歩みを逆転させるものだ。この迫害に抵抗する闘いを通じて反占領闘争の重要な一翼を担っているイラク女性自由協会(OWFI)が、第34回平和と民主主義をめざす全国交歓会(7/31〜8/1、東京)に代表を派遣する。同協会の闘いを通して、占領下の女性の状況とそれに抗する誇りある姿が見てとれる。

CPAが女性迫害を後押し

 占領下のこの1年余りの間にイラクの暴力犯罪は拡大した。とりわけ、女性に対する暴力・迫害が拡大し、被害が集中している。

 レイプ・誘拐・家庭内暴力は日常茶飯事となり、OWFIによれば、バグダッドで昨年4月から8月の間に400人の女性がレイプされた。またレイプはその被害者の家門の名誉を傷つけるものとされ、被害者が自分の家族から死による償いを迫られるという二重の迫害も拡大している。

 こうした混乱をもたらした根本原因は米英による戦争と占領であるが、米英暫定占領当局(CPA)が、イスラム政治勢力・民族至上主義勢力・部族勢力など女性を人間として扱わない反動勢力を集めて暫定統治評議会をデッチ上げ、権力を与えたことが拍車をかけた。

 暫定統治評議会が最初に行った政策のひとつは、イラクの女性デーを3月8日(世界女性デー)からマホメットの娘の生誕の日といわれる8月18日に変更したことだ。こうした暫定統治評議会の反動的スタンスを後ろ盾にイスラム政治勢力は、女性に対する迫害を強めた。

 女性労働者を職場から解雇・追放する。教育を受ける権利を奪う。女性に伝統的ベールの着用を強要し、それを拒否する女性に対して暗殺の脅迫を行い、現実に暗殺した。抵抗する女性を「娼婦」と決め付けて、集団的な殺人行為も行われた。その一方で一時的な婚姻というイスラム式買春が広がった。男の都合次第で金によっていつでも解消できる数日間のあるいは数時間の婚姻というものである。

 反動的・復古主義の極めつきは、昨年12月29日に暫定統治評議会が秘密投票で決議137を採択したことである。この決議は、1950年代に制定された非宗教的な家族関係法を否定して、イスラム慣習法を復活させることで婚姻・離婚・財産相続・養育権などでの女性の平等な権利を奪い、「不貞」に対して投石による死刑という残虐刑を復活させるものであった。

イスラム慣習法に怒りが広がる

 OWFIは、女性の権利を守るとともに、米英の占領や暫定統治評議会に対し民主主義を対置する大衆運動組織として昨年6月に結成された。そして占領軍・暫定統治評議会・イスラム政治勢力に対する大衆行動を呼びかけてきた。

 特に決議137は、イラクの女性の怒りに火をつけた。それは女性に抑圧的であったフセイン政権時代よりもいっそう女性の権利を踏みにじり、イラクの女性の闘いを50年間後戻りさせるものだったからである。OWFIが決議への闘いを呼びかけ、80を超える女性団体が抗議の闘いに立ち上がり、運動は全土に広がった。この闘いの広がりのなかでCPAのブレマーはこの決議に承認を与えることができなかった。

 さらにOWFIは、女性デーを変更した暫定統治評議会の決定に抗議するために、今年の3月8日にバグダッドで世界女性デーを祝う大衆行動を展開した。

 米英の「主権移譲」はかいらい権力の化粧直しであり、占領支配の事実上の継続はイラク民衆の怒りを拡大するだけである。その怒りを組織するイラク失業労働者組合やOWFIの大衆的な闘いこそが、イラク民衆の未来を切り開いていく。

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