2004年12月29日発行869号

視角

【小泉でたらめ語録2004 / 無力感へと誘う小泉語】

 日本の子どもたちは物事を論理的にとらえることが苦手で「読解力」が低下している−−国際学力調査に示された「学力低下」の実態が教育関係者に衝撃を与えている。

 これはある意味当然の結果であろう。一国の首相がその場しのぎの無責任発言を連発して平気なのだ。物事を論理的科学的にとらえることを軽視する風潮が世にまん延するのは当たり前の話である。

 小泉首相の言動が軽いのは今に始まった話ではないが、イラク派兵延長をめぐる国会答弁は特にひどかった。イラク特措法における「非戦闘地域」の定義を質された小泉は「自衛隊の活動している地域は非戦闘地域だ」と開き直ったのだ(11/10党首討論)。

 これは信号無視を指摘されて「俺が通っているのだから青信号だ」と居直るたぐいの詭弁である。小泉の論法でいくと、自衛隊の行くところはすべて「非戦闘地域」になるわけだから、世界中どこへでも派兵できることになる。

 こんなインチキ発言を小泉は「適切ないい答弁だった」と自画自賛する始末。この調子では自衛隊がイラクの一般市民を殺傷しても、「自衛隊が殺した者はテロリストだ」などと言い出しかねない。米軍によるファルージャ虐殺を「作戦は一定の効果を与えた」と讃えた小泉のことだ、十分ありうる話である。

 国会で何を聞かれても、ニヤニヤ笑いながらいい加減な答弁をくり返し、厳しく追及されると逆ギレする。自衛隊派兵のために自らが作ったイラク特措法ですら、都合が悪くなると無視する。自分の言動の論理的整合性など気にもしていない。そんな小泉は、グローバル資本主義の為政者にふさわしいパーソナリティの持ち主といえる。

 一握りの金持ちが圧倒的多数の貧者の上に君臨するというむき出しの暴力性ゆえに、グローバル資本主義は多数の合意形成を得ることが無理なシステムである。したがって、そういうことは為政者に期待されない。

 彼らの仕事は「何を言っても世の中変わらない」というあきらめを大衆に吹き込むことにある。支離滅裂な小泉語は、世の人々を脱力させ無力感を抱かせる役割を果たしているのだ。

   *  *  *

 「この大統領にとって言葉は行き当たりばったりの意味しかもたない…また、この大統領は、言葉を口にすればそれが真実になると信じているようでもある」 米軍収容所でのイラク人虐待をスクープしたセイモア・ハーシュ記者は、ブッシュ大統領をこう評した。彼の指摘は小泉にもそのままあてはまる。

 知性・品性・人間性が欠落した人物を政治のトップに押し上げる。そういう人物でないと務まらない。それがグローバル資本主義という非人間的なシステムなのだ。      (O)

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