ロゴ:生きる 佐久間忠夫 2005年06月24日発行892号

第113回『フランス(2)』

 4日の午前中、労組のセンターとなるSUD(連帯・統一・民主主義労組)の国鉄部会に案内された。事務所に入ると、赤旗の寄せ書きが貼ってある。日本郵政ユニオンとかJR鉄産労の名前はあるが、国労がねえんだよな。

 駅の管理者が構内を案内してくれた。階段にプレートが貼ってある。「何ですか」と聞くと「第2次世界大戦の時にファシズムに抵抗して殺されたレジスタンスの人たちの名前です」。そういうのがフランスにはちゃんと残っている。

各信号所まで細かく案内してくれた。最後は電車に乗った。新幹線並みの15両編成で長い。客車は広々としてて、自転車で動く人が多いのかな、車内に自転車置き場まであるのには、びっくりした。フランスでは乗客や旅行者が増える時は、すぐに臨時電車を出すらしい。日本みたいにすし詰めの列車は走らせない、乗客優先の運営になっている。

 電車に乗りSUDの本部に行くと、イタリアやスペインの鉄道労働者が集まってEUの鉄道部門の会議をやってた。大陸だから一つにつながっている。

 国鉄と同じだと思ったのはちょうど昼飯時で、炊事場があり男の人が料理を作っていた。30人くらい座れるテーブルにみんなで座った。昼でもワインが出る。最初が手作りのジャガイモ料理で、食べ終わると次の料理が出てくる。日本から来た俺らはこれでおしまいかと思ってガツガツ食ってたら、最後に肉の厚いステーキが出てきて笑っちゃってさ。もう腹いっぱい。山田なんか食べ過ぎで腹こわしたんじゃないかと思う。4日間通して食事は、別段違和感もなくうまかったね。

フランスにて
写真:フランスの労働者と並ぶ

 上映会は19時30分開始。鉄道会館であった。ここにも玄関を入って右側の壁にプレートがあった。1917年と1944年という2つの世界大戦の年が書いてある。全国の鉄道労組の組合員で犠牲になった人たちの名前が載っている。

 上映会は200人くらい参加した。見ているうちから声が上がる。場面ごとに直接的に反応がある。周りを気にするより自分が感じたことを直接表現するんだ。いいなあって感じたね。

 終わって俺たちが前に並んだら、参加者がみんなワァーって立ち上がって、拍手がすごくてさ。1分くらい止まらないんだ。大谷夫妻はモジモジしているし、引くに引けねえし、俺は立ってるだけじゃしょうがないと思って、両手ふって応えた。体に震えがきたよ。あれを見ただけでフランスに来た価値があった。もう一生味わえない経験だよね。そして、みんなからの質問がまたすごい。参加者の半数以上が手を上げている。終わったのは11時を過ぎてたね。(鉄建公団訴訟原告)

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