2005年07月08日発行894号

【894号主張 サマワ撤退拒否は利権のため 自衛隊は即時撤退を】

サマワで自衛隊に攻撃

 6月23日、イラク南部サマワに駐留する自衛隊の車列が爆弾攻撃を受けた。サマワでは、自衛隊撤退要求のデモや投石、日の丸ノーの落書きが相次いで発生しており、今回の事態も自衛隊=占領軍批判の高まりの中で起きたものだ。

 自衛隊は、現地の浄水施設が稼動し始めたためすでに2月に給水業務を打ち切っている。現在は道路や公共施設の修復を行っていると広報は伝えるが、これも自衛隊が行う必要などなく、現地住民の手で十分行える作業だ。自衛隊車両に投石した若者は「サマワには自衛隊がいるのに、自分たちには仕事も電気や水もない」と証言している。自ら宣伝する「復興支援」にもつながらない自衛隊駐留に、現地では不満が渦巻いている。

 政府は、なお「サマワは疑いもなく非戦闘地域」(6/24大野防衛庁長官)とし、6月25日には第4次要員の派遣を強行した。「復興支援」や「非戦闘地域」というでたらめが完全に破綻しているのに、あくまで自衛隊の撤退を拒否しているのである。

利権のための復興会議

 これに先立つ6月22日、ブリュッセルでイラク復興支援会議が開催され、85の国と国際機関が参加。イラクかいらい移行政府のジャファリ首相は米軍などの駐留継続を求め、会議は移行政府を全面的に支持する声明を採択した。

 この会議は、ブッシュが2月の欧州歴訪で開催を提案したもので、イラク民衆の信頼が全くない移行政府に対し国際的な支持表明で「正当性」を与え、占領継続が移行政府の要求であることをアピールするのが目的だ。また、開戦をめぐって対立した米欧の外相級がこぞって参加しているように、グローバル資本の代弁者たちが復興需要の醜い利権獲得競争の調整を進める場であった。

 日本の町村外相は円借款35億ドル開始を表明し、南部ウムカスルの港湾施設修復、バグダッドの上下水道整備に関心を表明した。米英軍があらゆる社会基盤を破壊し、その「再建」を通じてODA(政府開発援助)で支配するというグローバル資本の戦略を主導しているのが日本だ。

 政府が自衛隊撤退を即座に拒んだのも、「復興」プロジェクト遂行のための軍事的威圧部隊として駐留を不可欠としているからだ。攻撃への対策として打ち出された「警護要員の増員」(大野長官)は、民衆に銃を向ける部隊をさらに拡大することなのだ。

IFC連帯、即時撤退へ 

 イラクかいらい移行政府の下で、「掃討作戦」の名による住民弾圧と殺りくが再び激しさを増している。そして、占領を口実にした武装勢力の無差別テロも続き、4月以降だけで1800人以上の民間人の命が奪われている。

 「占領を終わらせることなしに、政教分離の憲法を作ることなしに、平和や安定をイラクにおいてかちとることは絶対にできない」(イラク自由会議〈IFC〉サミール・アディル議長)。この破局的状況に終止符を打つために結成されたイラク自由会議への支持がイラク国内で広がっているのは当然だ。

 IFCを支援するイラク市民レジスタンス連帯委員会を広げ、全占領軍―自衛隊の即時撤退を求める声を強めよう。      (6月26日)

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