2005年07月22日発行896号

【寄稿 運動の広がりを実感 国際ウラニウム兵器禁止連合国際会議 DU反対の声大きく】

 DU(劣化ウラン)・ウラニウム兵器禁止へ、国際的な運動が広がりつつある。ベルギーでの国際会議に参加したウラニウム兵器禁止条約実現キャンペーン(UWBAN)の成木弓恵さんに報告を寄せてもらった。

 6月23・24日の2日間、ブリュッセルで開催されたICBUW(International Coalition to Ban Uranium Weapons:国際ウラニウム兵器禁止連合)による国際会議に出席した。緑の党の主導のもと、ヨーロッパ議会の建物内にて開催。その広さには感服した。 ICBUWは2003年に始動した。私たちUWBANはフレンドとよばれる一般加盟団体で、日本の評議員は、NO・DU広島の嘉指さんとチェルノブイリ運動で活躍されてきた振津さんだ。

 参加の目的は、自らの紹介と兵器禁止にむけ世界的な連帯を築くこと、条約実現のプロセスを検討する材料を見つけること、加えてICBUWがどのような組織なのか確認することであった。

各国から活動報告

 1日目は各国評議員からの活動報告があり、日本からは、嘉指さんがニューヨーク・タイムズへの反戦意見広告掲載、広島からのイラク支援など多様な活動を流暢な英語で紹介された。

国際会議に参加した筆者(左)と柳医師(ブリュッセル)
写真:国際会議に参加した筆者(左)と柳医師(ブリュッセル)

 パネリストの一人、WHO(世界保健機関)放射線局の元局長キース・ベイバイストック博士から、公衆衛生の問題として懸念されるべきだとの見解が述べられた。博士は翌日も、政治的圧力にまさる独立した調査が必要だ、と発言。彼はWHOを辞めたが、それは米英をはじめとする政府の影響か、正しい科学的見解がその通り公開されるのを内部で阻止された経験もあってのことだ。

 バスラ大学のアル・アリ医師も疫学調査の必要性を訴えた。問題は、今のイラクにおいて、使用国への責任追及の根拠を示す正確なデータが簡単に集められるかどうかだ。だからこそ、イラク国内を正常な治安情勢にする闘いが重要となってくる。

 参加メンバーの林・柳両医師はこれまでそういった観点を重視し、同時に医学会への働きかけにむけ研究もしててきた。元WHO上層部との対談の実現は、貴重な成果だった。科学は事実であり誰にもまげられないはずなのに、一方的に劣化ウランで都市を攻撃し、被害の結果さえも認めない侵略国の非道さを見過ごしてはならない。

 2日目の、兵器製造に投資する銀行を批判するキャンペーンの紹介はおもしろく、ヨーロッパ全体へ拡げようとの提案がされた。私たちも自己紹介をし、質問もした。

よい経験になった

 全体を通して非常によい経験になった。第1に、被害者の退役兵との連帯を強化しようとの声は、同じく犠牲者であるイラク市民のレジスタンス運動を支持する私たちにとって光だ。また、ウラニウム兵器の違法性について新たな法的解釈があるとの発言もあった。国際会議では、このように新情報を得、運動の広がりを実感することができる。

ICBUW国際会議
写真:ICBUW国際会議

 開催国ベルギーの団体は、昼休みには議会ビルでチラシ配布。この団体とは交流もでき、平和活動家の第一人者の像「モナコ・ピース」の見学に連れて行ってくれた。

 最後に大事な報告であるが、DU禁止にむけどこへ働きかけを行うべきかというテーマについて、私たちが予定している人権小委員会への参加とは別の方向性も法律家から示された。国連総会の軍縮委員会が適切な場所だとの意見だ。条約制定への道筋をより深く考える機会となった。

 いずれにしろ国内をはじめあらゆる所からDU反対の声を大きくあげていくことが何よりも必要だ。今後ともご協力とご支援をお願いしたい。

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