ロゴ:国際法を市民の手に 前田朗 2005年09月16日発行903号

第74回『コリア戦犯法廷(5)』

 判決は、2001年6月23日に言い渡された。

 判事団は、2人の裁判長、28人の判事、計30名の構成である。

 裁判長は、ジテンドラ・シャーマ(インド、元最高裁)とブライアン・ウィルソン(米、弁護士、ヴェトナム戦争従軍)である。

 判事は、マルコム・キャノン(豪、反戦活動家)、マイク・ドーモン(ベルギー、国際連帯)、ステファン・エンディコット(カナダ、トロント大学教授)、サンドラ・スミス(カナダ、人民戦線)、ジュディ・チェン(中国系アメリカ人活動家)、グスタヴォ・トレズ(コロンビア、人権活動家)、ギュイ・デュプレ(仏、朝鮮平和統一国際委員会)、ユーゴ・ベルナール(仏、元国会議員)、ヴォルフガング・リヒター(独、人権保護協会)、ベンジャミン・デュピュイ(ハイチ、元大使)、ハリ・シャーマ(インド、シモン・フレーザー大学名誉教授)、オ・ジョンリュル(韓国、朝鮮民主統一国民戦線)、ユン・ヨンモ(韓国、統一活動家)、カトリーヌ・デュジョン(ルクセンブルク、反帝国主義者連盟)、ベン・ファマ(蘭、ベトナム戦争従軍兵士の息子)、マーガレット・サナー(ノルウェー、女性戦線)、エドレ・オラリア(フィリピン、弁護士)、アルネド・ヴァレラ(フィリピン、弁護士)、ベルタ・ジュベルトセシ(プエルトリコ、ヴィエケス活動家)、ジョルジュ・ファリナッチ(プエルトリコ、労働運動法律家委員会)、ゲイル・クールソン(南アフリカ、世界大臣連合事務局)、ドンダク・グルセ(トルコ、国際人民法律家協会)、チャールズ・オーバービ(米、オハイオ大学名誉教授)、ダイドレ・グリスウオルド(米、労働者世界新聞)、フェルトン・メイ(米、統一メスジスト協会)、カレン・タルボット(米、ジャーナリスト)、ウィルソン・パウエル(米、朝鮮戦争従軍)、ミロシュ・ライコヴィッチ(ユーゴスラヴィア、作曲家)。

 判決は、前文、事実認定、勧告の3部から成る。

 前文は法廷の性格や経過を示し、提出された証拠や証言の趣旨を概説している。以下、概要を紹介する。

 ニューヨークで開廷された法廷判事は、アメリカが1945年から2001年にかけて朝鮮人民に対して行った犯罪に関する起訴状を検討した。

 起訴状は、1945年からその時点までの、全アメリカ大統領、全国務長官、全国防長官、全参謀本部員、全CIA長官、全国家安全局長官、朝鮮戦争における全軍事指揮官を、国連憲章、ニュルンベルク憲章、1907年のハーク陸戦法規慣例規則、1925年のジュネーヴ議定書、1929年と1949年のジュネーヴ諸条約、1948年のジェノサイド条約、その他の国際条約と慣習国際法、アメリカ国内法、朝鮮法その他に違反した19の戦争犯罪、平和に対する罪、人道に対する罪を告発している。

 法廷判事には、国際人道法違反について判決を書くという世界市民としての権利と義務があり、韓国真相委員会が数年にわたって収集した証言や、他の委員会が収集した証言を聴取し、証拠文書、写真、ヴィデオテープ、特別報告書、専門家による分析を受理した。これには特に1950年から53年にかけて朝鮮南部でアメリカが行った農村地帯における民間人虐殺の生存者の証言が含まれる。法廷判事は、委員会が入手したあらゆる証拠を手にし、これらに詳細な検討を加えた。

 法廷判事は、朝鮮民主主義人民共和国から提出された報告書を受理し、収集された著作、論文、文書を手にした。これは、民主国民戦線調査委員会が作成したもので、1950年6月以前にアメリカが朝鮮北部で行なった犯罪に関する情報を含んでいる。

 法廷判事は韓国真相委員会による立証を聴取した。法廷判事は、アメリカ政府によって出廷を認められなかった証人の証言をヴィデオなどで聴取した。これらの証拠すべてを吟味し、照らし合わせて、法廷判事は、起訴状で開陳された19の犯罪行為について次のように認定する。

  

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