2005年09月23日発行904号

【視角 / ウソで固めた「公務員叩き」 / 大増税へのスケープゴート】

 今回の総選挙は「公務員を減らせ」の大合唱に終始した観がある。主役はもちろんこの人、民営化原理主義者の小泉純一郎首相だ。街頭演説で、テレビ番組で、選挙CMで、小泉は「民営化で公務員を減らすことが改革だ」と叫び続けた。

 たとえば、こんな具合である。「みなさんは公務員を減らすことに賛成でしょう? 郵便事業を民営化すれば、約38万人の公務員が全員民間人になるんです。これ以上、公務員を減らす改革はないっ!(絶叫)。民主党は数十万人の公務員票ほしさに民営化に反対しているだけだ」

 「役人の味方」と小泉自民党から攻撃された民主党は、負けじと「3年間で公務員人件費2割減」の公約を打ち出す。かくして、朝日新聞が言ったような「公務員人件費 / 選挙で減らし方を競え」(8/22社説)という状況が現出した。

 たしかに「公務員を減らせ」の主張は一般受けする。公務員の人件費を削れば、その分税負担が軽くなるというイメージがあるからだ。だが、この「定説」は本当なのか。

 まず、小泉が言う「郵政民営化は税負担の軽減にも寄与する」は大ウソだ。郵政公社職員の人件費は郵政事業の収入だけでまかなわれている。今でも税金は1円も使われていないのだ。

 「公務員が多すぎるから財政赤字が減らない」もおかしい。人口千人あたりの公務員数を国際比較でみてみよう。フランス96・3人、米国80・6人、民営化政策の本家・英国でさえ73人だ。これに対し日本は35・1人。世界標準で言うと、日本はきわめて公務員の少ない国ということになる。

 このように、巷にあふれる公務員バッシングの大半は事実無根のデマゴギーである。小泉やマスメディアの狙いは、ウソ八百をくり返し「公務員が悪い」のイメージを世間に浸透させることにある。何のために。国民収奪の強化に対する労働者・市民の怒りを公務員攻撃に集め、政権批判に向かわせないためだ。

 たとえば、政府の“サラリーマン増税計画”を批判する週刊誌の記事はたくさんあるが、非難の矛先は小泉政権ではなく「給料に見合う仕事をしていない公務員」に向けらている。「サラリーマン大増税の前に国会議員、公務員を削減せよ」(7/15週刊ポスト)というように。公務員は大増税実行のためのスケープゴートというわけだ。

   *  *  *

 民営化で公務員を減らせば国民負担が軽くなるというものではない。公的サービスの切り捨てと増税は、小泉政権の戦争国家路線を財政面から支える2本柱だ。小泉が「政府は自ら血を流した。皆さんも痛みを分かち合ってほしい」と、さらなる生活破壊を強いてくることは目に見えている。

 「やらずぶったくり」こそ小泉改革の本質だ。だまされてはならない (O)

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