ロゴ:国際法を市民の手に 前田朗 2005年11月25日発行913号

第79回『コリア戦犯法廷(10)』

 2003年7月25日、平壌で開催されたコリア戦犯法廷(朝鮮におけるアメリカの戦争犯罪に関する平壌国際法廷)は判決を言い渡した。

 判事は、ジテンドラ・シャーマ(裁判長、インド、元最高裁判事、国際民主法律家協会)、アタナシオス・パフィリス、ヌーリィ・アブデル・ラザク・フセイン・エルカルム、ミゲル・マデイラ、マルシア・ペレイラ、ヴァレンティン・パチョ、ポレッテ・ピアソン・マシィである。ジテンドラ・シャーマは、2001年6月にニューヨークで開催されたコリア戦犯法廷の裁判長でもあった(本連載74参照)。判決冒頭には、2001年ニューヨーク法廷で確認された事実も考慮に入れたことが明示されている。

 判決は次のように認定した。

 第二次世界大戦後、アメリカは朝鮮を分断し、朝鮮人民の意思に反して南半分を占領し、民主的愛国勢力を弾圧し、100万以上の無辜の人民を殺害した。アメリカは朝鮮戦争を挑発し、朝鮮の町村にナパーム弾を含む60万トンの爆弾を投下し、生物兵器その他の大量破壊兵器により、朝鮮では300万以上、韓国では約120万の民間人を殺害した。休戦協定締結後も韓国に核兵器を配備し続けた。朝鮮半島の平和と統一を妨げ、韓国における民主的な自由と人権を侵害した。アメリカは朝鮮を敵視し、軍事的圧力をかけ、経済制裁と経済封鎖を行い、イデオロギー的文化的浸透を行うことにより、自己決定権、生存権、発展の権利など国際的に承認された朝鮮人民の基本的権利を侵害した。これらの犯罪はたまたま個人や組織が行なったのではなく、アメリカ政府の公的意思に従って計画され、周到に組織された。アメリカは国連憲章、世界人権宣言、ニュルンベルク憲章と原則、人類の平和と安全に対する罪の法典の重大な違反を行ったので、アメリカはこれらについて完全な責任をとらなければならない。

 1.アメリカ政府と起訴状記載の被告人らは、起訴状記載の告発について有罪である。

 2.アメリカ政府は朝鮮において行った犯罪行為すべてについて公的謝罪をし、朝鮮人民の物的精神的損失につき適正な補償をしなければならない。

 3.アメリカは自ら朝鮮人民に対する犯罪の計画、準備、組織、指示、執行、支援を行なった者すべてを特定し、犯行者を裁判にかけ、刑事罰を課さなければならない。

 4.朝鮮半島に対する犯罪の完全な責任を解明するために必要な法律を制定し、この問題を調査するための特別委員会を議会や政府内に設置することがわれわれの責務である。

 5.アメリカ政府は直ちに朝鮮に対する敵視政策を放棄し、軍事的威嚇をやめ、不可侵条約に署名し、朝鮮半島の平和問題を平和的手段で解決しなければならない。

 6.アメリカは軍隊と核兵器を韓国から速やかに撤退し、朝鮮に対する政治的圧力、経済制裁、経済封鎖、心理戦を終わらせなければならない。

 7.アメリカ政府は、6・15南北共同宣言に従った、平和的手段での朝鮮統一を求める朝鮮人民の意思に反する朝鮮の国内問題への介入をやめなければならない。

<参考文献>Verdict of Pyongyang International Tribunal on US Crimes in Korea. July 25, 2003.

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